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大人の発達障害の私が体感したオープン就労とクローズ就労のメリット・デメリット

2021.8.4

職場で障害を開示するか、それとも隠したまま働くか。大人の発達障害当事者として、オープン就労とクローズ就労、両方の経験がある私から見たメリットとデメリットについてまとめました。

執筆:森本 しおり Morimoto Shiori

はじめに

発達障害者や精神障害者が働く上で避けて通れない「障害を開示するオープン就労と、隠したままにするクローズ就労、どちらにするか」という選択。これは、他人には見えづらい障害を持つ人ならではの悩みです。

約5年前に大人の発達障害が判明した私は「障害を開示して働いていくか」迷いました。27歳で転職をすでに4回。「何かを変える必要はあるのだろう」と漠然と感じていました。

悩んだ末に、両方を試してみることにしました。

現在私は、クローズ就労で障害児福祉の仕事を週5日働きながら、オープン就労でライター業務を週1日請け負っています。どちらかに絞る予定でしたが、2つとも続けたまま5年目に突入しました。

「オープン就労とクローズ就労、どちらがいいのか」は企業や個人による部分も大きいので全員に共通する答えはありません。私のケースと似た立場の方の参考にしていただければと思います。



クローズ就労のメリット・デメリット

まず、クローズ就労のメリットは「選べる仕事の幅が広いこと」です。

2021年8月現在の民間企業の法定雇用率は2.3%で、企業で働く障害者の数は年々増えてきています。ただ、発達障害を含む精神障害者がその対象になったのは2018年の4月からであり、また、障害者雇用を行っている会社の業界や職種などにばらつきがあるのも事実です。

一方、デメリットは「合理的配慮を求められないこと」です。合理的配慮とは、障害が原因で生じる困難に対処して欲しいと本人が求めた場合、過度の負担にならない範囲で企業などに課される配慮義務のことです。



たとえば、私は自身のADHDの特性から、運転はなるべく避けたいと考えています。ADHDの方でも車の運転をする方はいますが、私は以前事故を起こした経験もあり、自分の運転の危険性が高いと判断しています。

クローズ就労だと「この仕事は苦手なので外して欲しい」と伝えることがむずかしい場合があります。私は運転する職員の人数が足りていることや、上司に事故の話をしたことで運転業務から外してもらえました。職場のご厚意があって初めて成立するので、再現性は高くありません。条件が変われば、職を失う可能性もあります。

オープン就労のメリット・デメリット

オープン就労のメリットは、「合理的配慮を求められること」です。障害が原因の困りごとがあるときに対処をしてもらうなどの配慮を受けやすいです。クローズ就労の反対だと考えればわかりやすいはずです。

たとえば、私は通院のある日は勤務時間帯をずらしてもらっています。そもそも、通院と勤務時間が重なりそうなときに「時間を変えてもらえませんか」と相談できること自体が、オープン就労のメリットだと感じています。

デメリットは「選べる仕事の幅が限られていること」です。自分の希望する求人を障害者雇用枠で見つけられる人もいる一方で、自分の希望と実態が合わない人もいます。

たとえば、私は一緒に働く人との相性が大事なので、できれば従業員数が10人以下の会社で働きたいという希望があります。障害者雇用の法定雇用率は従業員数が43.5人を越えている企業が対象なので、なかなか実現が難しいです。



まとめ

オープン就労とクローズ就労のメリットとデメリットは表裏一体です。メリットとデメリットの両方があり、どちらを選んだ方がいいかは何を優先するか次第です。

もし、障害を隠す選択をするのであれば、職場の環境に合わせる必要があります。忙しいときには自分も仕事量や働く時間を増やしたり、苦手な仕事でも請け負ったりすることもあります。自分が職場に合わせられる人や、職場と自分の利害が一致しないときに調整をできる人は、クローズ就労でも続くかもしれません。

一方で、障害をオープンにするのであれば、ある程度は周囲からの配慮を得やすくなります。

企業それぞれに違いはありますし、業種や職種による差もあるので、配慮が得やすいと言い切ることはむずかしいですが、クローズ就労に比べると職場が個人に合わせてくれる部分が増えます。無理をすると調子を崩しやすい人や、自分で周囲との調整をすることが苦手な人はオープン就労の方が続けやすいかもしれません。

自分自身が働く条件として譲れること・譲れないこと、障害が原因で配慮やサポートが必要なこと、自分の中で守りたいことを明らかにしていくと、仕事のイメージや働くイメージが具体的になってきます。

全ての要件を叶えられる職場はなかなか見つかりづらいものですが、自分に合った働き方が実現できそうな職場は探せる範囲内にあるのではないでしょうか。

1988年生まれ。「何事も一生懸命」なADHD当事者ライター。
就職後1年でパニック障害を発症し、退職。27歳のときに「大人の発達障害」当事者であることが判明。以降、自分とうまく付き合うコツをつかんでいる。プラスハンディキャップなど各種メディアへ寄稿中。

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