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障害者が受けられる福祉サービスって?ー第3回ー

「訓練等給付」ってなに?

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2021.8.17

障害者総合支援法によって、さまざまなサービスが障害者に提供されています。
パラちゃんねるカフェでは、障害者総合支援法による福祉サービスの全体像介護給付について、詳しく説明してきました。

第3回では、「訓練等給付」の内容について説明します。障害者ひとりひとりに合わせて、生活能力を向上させ、社会の一員として生活ができるように支援する制度です。具体的にどんな支援が受けられるのでしょうか。

第1回 障害者総合支援法による福祉サービスの全体像
第2回 介護給付て何?

執筆:斎藤 厚子 Atsuko Saito 

訓練等給付は「障害福祉サービス」のうちのひとつ

障害者総合支援法による障害福祉サービスには

・介護給付(日常生活での介護の支援を受ける)
・訓練等給付(社会の一員として生活できるように訓練の支援を受ける)

があります (障害福祉サービスをもう少し大きい範囲でとらえる場合もありますが、ここでは下記の表で説明します)。

障害福祉サービスの 利用について(社会福祉協議会)を参考に筆者作成

訓練等給付ってどんなもの?

「訓練等給付」とは、日々暮らしていくために必要な訓練などを支援するサービスです。
自立訓練、就労移行支援、就労継続支援、就労定着支援、自立生活援助、共同生活援助があります。ひとつずつ内容を見ていきましょう。

1、自立訓練

地域のなかで生きていくために、身体能力や生活能力の維持向上を目指します。「機能訓練」と、知的障害者や精神障害者向けの「生活訓練」に分けられます。


「機能訓練」

身体障害者や難病患者が対象です。
理学療法や作業療法などの身体的リハビリテーション、日常生活の相談や支援を行います。
具体的には 、
「肢体不自由者に日常生活の動作訓練を行う」
「視覚障害者に移動訓練を行う」など
※標準利用期間は18ヶ月


「生活訓練」

知的障害者や精神障害者が対象です。
食事や家事などの日常生活能力を向上するための訓練、日常生活の相談や支援を行います。
具体的には
「どのように食事や家事の支度をするのか教える」
「施設に宿泊して行う夜間の生活(夜どのように行動するか)訓練」など
※標準利用期間は24ヶ月(長期入所者は36ヶ月)


2、就労移行支援

65歳未満が対象です。一般企業などで働くことができるように支援します。

まず、障害者の適性の把握した上で、就労に必要な知識の習得、能力向上のための訓練を行います。次に、実習や職場見学、適性に応じた職場の開拓や求職活動の支援をします。

就職後も、安定して働き続けられるよう、原則6ヶ月間は継続的な支援があります。

※標準利用期間は24ヶ月(必要性があれば12ヶ月の更新可能)

3、就労継続支援

支援を受けながら、働く訓練を受けられるサービスです。 A型(雇用型)と B 型(非雇用型)があります。

・就労継続支援 A 型ー65歳未満が対象です。施設と利用者との間で雇用契約を結ぶことにより、その地域の最低賃金以上が保証されます。

・就労継続支援 B 型ー雇用契約は結ばず、賃金ではなく「工賃」という形で時給に換算すると100円から150円程度が支払われます。お金を稼ぐよりも、施設を居場所として活用し孤立を防ぐことが目的とされています。

4、 就労定着支援

自立訓練・就労移行支援・就労継続支援などを使って一般企業に就労した障害者が対象です。就労を継続させるために、日常生活の支援を行います。具体的には、生活面での問題点を把握し、就労先や医療機関などと連携し調整する、体調管理や家計に関する助言をするなど。

※利用期間は原則3年間

5、自立生活援助

一人暮らしをしたい知的障害者や精神障害者をサポートします。 自立生活援助事業所スタッフが定期的に巡回して、日常生活の確認(公共料金や家賃の支払い、掃除ができているか、食事は取れているかなど)をして、必要がある場合には相談や助言を行います。

※利用期間は原則として1年間(必要があれば更新可能)
※2018年4月1日から導入された新しいサービスです。

6、共同生活援助(グループホーム)

生活介護や就労継続支援など日中活動をしている障害者(ある程度の自活能力がある人)が対象です。障害者が共同生活を送れるよう、手助けをします。具体的には相談援助、食事・入浴などの介護、金銭管理のサポート、健康管理、緊急時対応など。

ふだんは民間のアパートなどで一人で生活し、食事などは本体となる住居を利用する「サテライト型住居」というものもあります。

まとめ

いかがでしたか。訓練等給付は、日常生活や社会生活を営むために必要な訓練などの支援を提供するサービスです。障害者が地域で生活していくために、新しい支援方法も作られています。介護給付と同様に日本全国で同じサービスが受けられます。どのような暮らし方をしていきたいのかを考え、選択するようにしましょう。

次回以降は、
第4回:相談支援、自立支援医療、補助具って?
第5回:地域生活事業って?
第6回:障害福祉サービスの手続き方法は?いくらかかるの?

の内容でお伝えする予定です。

参考資料
『これならわかる障害者総合支援法第2版』 二本柳覚編著 鈴木裕介・遠山真世著 翔泳社  2018年
『障害者総合支援法の仕組み』 デイリー法学選書編修委員会編 三省堂 2019年
『 障害者総合支援法と支援サービスのしくみと手続き』 三修社 2019年

子育てが1段落したとたん介護が始まった。寝たきり母の自宅介護をしつつ通信制大学に挑戦。介護と学問と家事の同時進行に真剣に悩む。卒論に苦労したが5年で卒業。目標達成の素晴らしさを知る。
身近に難聴者がおり、障害の勉強を始める。
以前の職場同僚に身障者の方がいたが、今ならもっとうまく友達になれたかも。
あきれるほどの弱虫だが、日々挑戦を続ける。
「文を書くことは筋トレと同じ」と考え、noteを毎日発信中。

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