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養護学校か、普通学級かー難病・希少疾患の私が体験したこと

養護学校から普通学級の中学へ

2021.9.4

私は希少疾患があり重度の身体障害があるため、小学校6年間を養護学校で過ごしました。そこから、中学校は普通学級へ入学し、高校・大学を経て一般企業へ就職することに。

障害をお持ちの当事者の方や親御さんに、「こういう道もあるんだな」と何かの参考になればと思い、前編・後編に分けて私の歩んできた道をご紹介します。

執筆:小林 香織 Kaori Kobayashi

6歳、普通学級を諦め、養護学校へ入学

私は重度の身体障害はあるものの、知的障害はなく周りとコミュニケーションを取ることができたので、両親は「みんなと同じように学び、友達を作って欲しい」という想いから、小学校から普通学級への入学を希望していました。

しかし、私が6歳の頃はまだまだバリアフリーは浸透しておらず、少し田舎という地域特性もあるのか、

「もし何か問題があった場合の責任を負えないため、受け入れることはできない」

と普通学級への入学は拒否されてしまいました。
そのため、小学校6年間は車で約30分のところにある養護学校に通うことになりました。

養護学校での6年間ー特別対応で勉強を教わる

私の通っていた養護学校は小中一貫校で、重度の肢体不自由児が通っていました。

ひと学年に児童は2〜3人ほどで、児童1人に対し担任の先生が1人付いてくれるので安心して過ごすことができます。

授業は国語や算数といったものはなく、楽器を鳴らしたり絵を描いたりリハビリしたり、個々の障害に合わせて取り組んでいました。先生はみんな優しく穏やかで、お話のできる友達もでき、毎日学校へ行くことが楽しみでした。

そんな中、私が普通学級への入学を希望していたことを知った担任の先生が、「この子にはちゃんと勉強を教えた方がいい」と他の先生方へ掛け合ってくれました。

養護学校が設立して以来、このようなケースが今までなかったため、1人だけ特別扱いするのは…という意見もあったそうです。それでも、私や両親の意思を理解していただき、私だけ主要科目の授業を教わることになりました。

中学校のように国語・算数・理科・社会など教科によって先生が入れ替わり、マンツーマンで教えてくれることに。そのおかげで得意な部分は伸ばし、わからないところは徹底的に教えてもらうことができました。

何度も教育委員会に掛け合い、中学校は普通学級へ!

小学5年生になった時、養護学校の近くにある普通の小学校と、『交流会』が始まりました。月1回ほど小学校に遊びに行き、一緒に授業を受けるというものです。

交流会のおかげで普通学級の子とも少しずつ馴染むことができた私は、中学校は普通学級への進学を望みました。両親も「将来の自立を考えるとその方がいい」と考え、何度も教育委員会に進学させてもらえるよう掛け合ってくれました。

そして無事に許可が下り、中学校から普通学級に進学することが決まりました。

奇遇にも中学校の校長先生のお子さんが障害児で、とても理解のある方だったため、入学許可が下りたそうです。

夢だった中学校生活と厳しい現実

ついに普通学級へ。ただし、厳しい条件がありました。

1.母が学校にいなければならない
ヘルパーは利用不可だったので、何かあった場合すぐに駆けつけられるように、母は1日中、学校の一室で待機していなければなりませんでした。

また、中学校は車で30分の学区外にあるため、毎日送り迎えもしてくれました。体調が悪かろうがずっと私のために付き添ってくれた母には本当に感謝しています…。

2.授業の合間の移動で遅刻をしてはいけない
もちろん遅刻がいけないのは基本的なマナーです。ですが、授業の合間の短い休み時間で階の違う教室へ移動したり、体育で体操着に着替えてから校庭に移動したりと、車いすの私はどうしてもみんなよりも時間がかかってしまいます。

それでも特別扱いはできないため、遅刻したら原点となり成績に影響が出てしまうので、母と必死になって移動していました。

3.体育の成績は1
体育は毎回見学のため、必然的に成績は1しか付けられません。高校進学の際にかなり不利になりますが、受け入れるしかありませんでした。

このように、普通学級へいくためには「特別扱いはしない」という条件をもとに入学することができました。

みんなと同じように制服を着て、教室で授業を受け、休み時間はおしゃべりをする。当たり前のことがとても楽しかったです。

ただ、中学校生活は楽しい思い出ばかりではありませんでした。

養護学校では大人に囲まれた世界で生きてきて、勉強も私のペースで進んでいたのですが、初めての同世代との団体行動や学習レベルもスピードも上がり、今までとは環境が180度変わったこともあり、身体的にも精神的にもかなり苦労しました(それはまた別の機会に…)。

苦労や辛い経験もポジティブに考えてみる

中学校では辛い思いもたくさんしたので、普通学級へ行くことは必ずしも正解とは限りません。

ですが、いま振り返ってみると私の場合は普通学級へ進学したことは間違っていなかったのかなと思います。この時の苦労や辛い経験は、これからの人生にプラスになったのではないかと思えるからです。

次回は高校〜一般企業への就職についてをご紹介したいと思います!

1985年生まれ。日本に約10人しかいない先天性の希少疾患「若年性ヒアリン繊維腫症」という病気のため電動車いすで生活する。デザインの仕事をメインに活動中。ポジティブ・アクティブがモットー。音楽と美味しいものがあれば幸せ。
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