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車いすユーザー歴14年の私の考える「車いすユーザーに向いている職業」

2021.8.24

車いす生活になると、障害を理由にできないことが出てきます。仕事選びに頭を悩ましている車いすユーザーの人は少なくありません。今回は、車いすユーザー歴14年の私が考える車いすユーザーに向いている職業をご紹介します。

執筆:中村 珍晴(ちん) Takaharu Nakamura

車いすユーザーに向いている職業の選択基準

車いす生活になると、障害を理由にできないことが出てきます。選択できる職業は障害のない人と比べると少なくなります。

また、障害の程度によっては週5日フルタイムで働くことが難しくなるため、仕事選びに頭を悩ましている車いすユーザーは少なくありません。今回は、車いすユーザー歴14年の私が考える車いすユーザーに向いている職業をご紹介します。

ただ、今回紹介する職業はあくまでも私の主観で選んでいるため「車いすユーザーはこの仕事をした方がいい」と言い切るものではありません。人の価値観は様々なので、人によっては同意できない職業もあるかもしれません。はじめに今回の職業を選択した基準について説明します。


①車いすユーザーでも可能な職業

車いすユーザーは移動面に困難を抱えているため、自然の中でおこなう林業や力仕事を伴うインフラ整備などの仕事は、かなりハードルが高くなります。私は車いすユーザーでも可能な仕事の範囲の中から、仕事をしていく上で不利になりづらい職業を選択しました。

②リモートワークに適している職業

車いすユーザーが働く上での困りごとの上位に来るのが通勤です。人によっては通勤を理由に就職できないこともあります。

自宅で仕事ができるようになると、車いすでも働きやすくなります。コロナ禍の影響もあり、リモートワークを導入する企業は増えてきました。

しかし、現実的にはリモートワークを導入している業界とそうでない業界があります。業界や職種によっては、リモートワークと相性がよくない仕事もあります。そこで私はリモートワークを導入しやすい職業を選択しました。

③専門的スキルを必要とする職業

非正規雇用が増加していることから、今後終身雇用の企業は減少すると言われています。たとえ、大企業に入社できても安心とは言い切れません。転職することも今以上に一般的になるかもしれません。

私は「転職をする際に専門的スキルを持っている人材は有利になるのではないか」と考えて、大学教員という専門職を選択しました。

専門的スキルを必要とする職業の話は車いすユーザーに限った話ではなく「雇用が不安定になりやすい時代でも生活していくにはどうしたらいいだろう。」と考えた上での選択です。

車いすユーザーに向いている仕事

3つの基準をもとに「もし、私が障害を負ったばかりの車いすユーザーだったら、どの職業を選ぶだろうか」と考えてみました。ここからは、私が考える車いすユーザーに向いている職業を紹介します。

プログラマー

IT系エンジニア職は、基本的にパソコンとインターネット環境があれば業務が可能です。また、1人で作業することの多い職業であることもポイントです。そのため車いすユーザーの働き方の合っている職業だと思います。

また、現在はIT市場が急成長している一方でIT人材不足が深刻な問題となっています。つまり、各企業が優秀なエンジニアの取り合いになっている状態と聞いたことがあります。

気になる点はIT業界は長時間勤務のところが多いところです。プログラマーとして一人前になるには、気力と体力が要りそうなイメージもありますが「スキルをつければ独立して開発案件を部分的に受注し、あとの時間は自由という状態にできないかな?」と予想しています。

Webデザイナー

Webデザイナーは、企業などでWebサイトの制作やデザインをする職業です。Webディレクターやプログラマーなどと協力し、チームでWebサイトを作り上げます。Webデザイナーは、プログラマー同様に、パソコンやインターネット環境があればいつでもどこでも仕事がしやすく、リモートワーク制度が整っている企業も多いです。

スキルがあれば独立して、フリーランスの道を歩むこともできます。こちらも、プログラマーと同様、勉強が必要だと思います。

動画編集

インターネット回線速度が上がったことで、スマートフォンで動画を気軽に見ることができるようになりました。ニールセンの調査※1 によると2015年から2019年の5年間で1人あたり月間利用時間は約4倍に増えています。

そして、動画視聴者の増加に伴い、動画事業に参入する企業が増えています。そのため動画編集者の需要は今後も高いことが予想されます。

実際に私も個人でYouTubeチャンネルを運営していますが、動画編集は外注しています。現在は、大容量の動画データをインターネットで送ることができるようになりました。そのため、動画編集は場所を選ばない職業であり車いすユーザーに向いている仕事といえます。

Webライター

WebライターはWebメディアで執筆するライターのことを指し、パソコンとインターネット環境があればいつでもどこでも仕事が可能です。特に最近多くなってきているのが、フリーランスのWebライターです。

企業に属さず特定メディアの専属ライターとして働く方もいれば、さまざまなメディアから依頼を受けて記事を書くなど、働き方は多種多様になってきました。働く場所と時間の自由度が高いという点では、車いすユーザーに適している職業といえるでしょう。私もこの「パラちゃんねるカフェ」のwebライターとして記事を執筆しています。

ちなみに「パラちゃんねるカフェ」では、障害のある当事者ライター募集しています。「働く×障害」をテーマに発信したい内容がある方でぜひ応募してください。

まとめ

今回は車いすユーザーに向いている職業を私なりの視点でご紹介しました。プログラマーやWebデザイナーは、専門的スキルを必要とするため、専門のスクールに通う必要があるかもしれません。最近は、オンラインで受講できるスクールが増えてきたため、10年前に比べるとスクールに通うハードルは低くなってきています。ぜひ、働き方に悩んでいる車いすユーザーの方は今回の記事を参考にしてください。

1988年生まれ。大学1年生のときにアメリカンフットボールの試合中の事故で首を骨折し車椅子生活となる。その後、アメフトのコーチを6年間経験し、現在は、大学教員としてスポーツ心理学の研究とアスリートのメンタルトレーニングを実践しつつ、YouTubeチャンネル「suisui-Project」で車椅子ユーザーのライフスタイルを発信している。

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