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向き合い、そして、もがくこと。「センスある社会」を目指す久遠チョコレート 代表 夏目浩次さんインタビュー

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2021.9.13

『パラちゃんねるカフェ』がお届けする障害者雇用を進める企業インタビュー。今回は、愛知県豊橋市から一流チョコレートブランドとして全国52拠点、34店舗(2021年度出店分含む)に展開する久遠チョコレート 代表 夏目浩次さんに障害者雇用の歩みと取組みについて伺いました。

執筆:久遠チョコレート QUON CHOCOLATE

はじめに

久遠チョコレートは、「センスある社会をつくる!」をビジョンに掲げる一般社団法人ラ・バルガグループが2014年に立ち上げた愛知県豊橋市を代表するチョコレートブランドです。

余計な油分を一切加えず厳選されたかカカオで作られた看板商品のQUONテリーヌをお買い求めになられた方も多いのではないでしょうか。

現在、52拠点、34店舗(2021年度出店分含む)に展開する久遠チョコレートでは、従業員500名のうち300名以上が障害のある方で、子育て中の女性、ひきこもり、不登校、LGBTQなど社会の中で「生きづらさ」を抱える方も多く就労しています。

今回は、久遠チョコレートの創業者である夏目浩次さんに障害者雇用の歩みや取組みについて色々とお話を伺いました。

『パラちゃんねる』がお届けする障害者雇用を進める企業インタビュー。障害者雇用を進めている企業やこれから働こうとしている障害者の皆さまに、ぜひ読んでいただければ幸いです。

「センスある社会」とは

創業者の夏目さんは以前、都市計画や土木建設などの建設会社で勤務されていたと伺いました。久遠チョコレートを設立するきっかけは何だったのでしょうか?


前職で駅のバリアフリー化に携わる中で、障害のある方々との接点があり日常生活における障害や働く場所の少なさ、工賃の低さなど実情を聞く機会がありました。その中で耳にする「障害があるから、福祉だから、これで仕方ないんです。」という言葉と風潮に大きな違和感がありました。仕方がないとしてしまうと、その世界は何も成長しないですし、そう思わせてしまう環境や社会の在り方はおかしい、きわめてナンセンスだと思ったのが設立のきっかけです。


人それぞれが持った属性や環境により選択肢が制限される社会の在り方はナンセンスであり、多様性を「面白い」と受容できる器の大きさと寛容な価値観が必要と話す夏目さん。凸凹を認識しながらも平準化することで安心感を得ようとする社会が存在する中で、障害種別や度合いの違いを受け容れ、一緒に働くためのポイントには何があるのでしょうか。


全ては一人ひとりに向き合うことです。チョコレートは、失敗しても溶かして固めれるロスがない世界で唯一の食材です。工程分解も組み立てやすく、個々の特性に合わせ業務設計が可能という特徴もありますが、答えはシンプルにどれだけ向き合い、どれだけ一緒にもがくかだと思っています。


「QUONチョコレート豊橋本店」で働く様子

久遠チョコレートでは、2021年度中にさらに8店舗の出店を予定しており、現在も全国で採用活動を進めています。採用選考では、職場実習期間を応募者自身が設定する、入社時点で支援機関による相談員の配置を基本とするなど特徴が見られます。採用におけるこだわりのポイントがあれば教えてください。


大切なことは、久遠チョコレートで一緒に働きたいという思いの強さです。職場の雰囲気、業務内容や人間関係など応募者が判断できる期間が必要ですし、私たちも仕事に取り組む姿勢、出退勤、自宅での様子など一緒に過ごす時間を通して現場の全員が熱量を感じれることが何よりも大切です。面接が上手い、下手というのは全く関係ありません。


2021年7月オープンの「QUON chocolate パウダーラボ」とは

2021年7月に新事業として障害支援区分5・6の重度障害の方々が働く「QUON chocolate パウダーラボ」がオープンしました。設立の目的や事業内容について教えてください。


「QUON chocolate パウダーラボ」では、チョコ作りで必要な茶葉や果物を粉末にする工程を担当しています。効率性を重視した機械的生産ではなく、1つ1つの茶葉や果物を石臼で研ぐことで生み出されるピュアな粉末は、以前より食材の価値を高めています。


生活介護事業の工賃は月額平均3,000~5,000円とも言われ、座り仕事しかできないだろう、短時間しか働けないだろうという介護前提のレッテルや社会構造は、人としての尊厳の在り方を制限するものです。「支援」か「お金」の二者択一の社会は時代錯誤であり、どちらも目指す時代を体現したいと考えています。


「QUON chocolate パウダーラボ」で働く様子

日本の社会、経済が本気で向き合えば、センスある社会は作れると語る夏目さん。現在、「QUON chocolate パウダーラボ」では、1日5時間、時給450円、月額50,000円以上の工賃を実現しています。今後の展開を教えてください。


「QUON chocolate パウダーラボ」は、全国展開を目指します。私たちにとっては、どういう思いを持って、何をやるかが大切であり、人口動態や交通量など王道のマーケティングによるビジネスではなく、地方の街や山間部でも成り立つ仕組み、ブランドを作りたいと考えてます。大企業だから、中小企業だから、を言い訳にせず、「働く」を通して人としての尊厳を実現する社会を目指し、共鳴し合える仲間を増やしていきたいです。

久遠チョコレート 代表 夏目浩次さん

取材後記

「QUON chocolate パウダーラボ」で働く方々は、これまで座り仕事しか経験がなく、送迎ありきの生活だったそうです。しかし、現在は1日5時間の立ち仕事を熟し、車で5分の道のりを40分歩いて通勤する方もいるとのこと。

合理的配慮は忘れてはならない大切な観点ですが、もしかすると私たちが暮らしやすい社会は、一方で誰かの可能性に蓋をしているのかもしれません。

「働く意味」
「人としての尊厳」
「センスある社会」

どういう思いを持って、何をやるか、改めて考えてみましょう。

一般社団法人ラ・バルガグループが2014年に立ち上げた愛知県豊橋市を代表するチョコレートブランド。現在、全国53拠点に38店舗を構え、世界各国から厳選されたカカオで作られたQUONテリーヌや京都老舗あられ店「菓匠宗禅」のおかきをチョコでコーティングしたQUON OKAKIなど多彩な商品を全国に展開。
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