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目を覚ましたら、障害者。

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2021.10.5

大酒飲み、チェーンスモーカー、不健康な食事に激務。不摂生を30年以上続けてきたツケが、心筋梗塞となってやってきた。目が覚めたら、障害者。全てがガラリと変わってしまった5年前のできごとについてです。

執筆:市川 潤一

2016年5月6日の深夜、私は身体障害者になった。

前日の夜に大学時代の同級生とフットサルを楽しんでいたとき、私は急性心筋梗塞で倒れた。幸い、周りに人がたくさんいたので、すぐに救急車を呼んでくれて、私は愛媛県のとある病院に救急搬送された。

心筋梗塞になる原因は腐るほどあった。大酒飲みな上に、ヘビースモーカーどころかチェーンスモーカーだった。朝・昼は食べず、仕事が終わってからほぼ毎晩飲みに出て、酒を飲みながら夕食をドカ食いというような生活を20年近く送っていた。

大学時代から数えればきっとゆうに30年は超えていただろう。そのような生活のツケが心臓の冠動脈にきていて、倒れたときの私の冠動脈は90%閉塞していたそうだ。



私は当時、愛媛県でライターや編集者、カメラマン、ときにはデザイナーとして活動していた。そのような仕事柄だったこととグルメや観光の記事をメインにしていたこともあり、飲みの席が仕事に繋がる場合も多く、飲みに出るのはある意味営業のようなものだった。

一応、あるデザイン会社に籍を置いていたが、ほぼフリーランスのような状態であったため、健康診断なども受けることがなく、かなりメタボリックな体型であったものの、激務をこなす体力を維持するためにこの体型をしているという都合の良い言い訳をして、自分の健康など顧みることもなかった。

その不摂生の集大成として心筋梗塞を発症してしまったのだ。

時はちょうど、松浦亜弥のモノマネで人気を博していた「まえけん」こと芸人の前田健さんが路上で倒れ急死したニュースが流れていた頃で、病院でもCTや心電図などの各種検査を終えたあと、医師から頭越しに何度も「まえけん」みたいになるところやったよと言われていたのは覚えている。

検査を終えて、医師は「すぐにでもカテーテル手術をしなくてはならない。」と言った。私は入院も手術も当時までしたことがなく、言われるままにストレッチャーに寝かされ、手術の同意書を書かせられた。

まさか、あんなことになるなんて思いもせず。

今でも「もし、タイムマシンなどであのときに戻ることが出来るのであれば同意書にサインなどせず、血液サラサラの薬や血管を掃除し、拡張する薬でなんとかしてくれと言おう。」と考えたりする。



私は40を過ぎても独り身ということもあったので、手術前に緊急連絡先を教えてくれと言われたとき、長崎の実家の番号を教えていた。父はすでに亡くなっており、母が一人で実家に住んでいたので、医師に何度も電話をするなと訴えたが、手術前に医師は電話をしたようで、移動手段がない母は母の弟(私の叔父)の車ではるばる愛媛まで来ることになった。

しかし、母が到着すると同時に目にしたのは、カテーテルを刺したときに血栓が脳の血管に飛んで脳梗塞となり、瞳孔が開いて今にも死のうとしていた私の姿だったそうだ。

急遽、脳外科手術に切り替わり、頭蓋骨を切り取られ、脳の血管に詰まった血栓を取り除く手術を行い、一命は取り留めたものの脳には損傷を負い、目が覚めると私は左半身麻痺の運動障害と、高次脳機能障害を負っていた。

目を覚ましたら、障害者になっていたのだ。

次回からはプライドとやりがいを持って取り組んでいた仕事を失った絶望や、脳をやられる病気をすることへの周囲の理解のなさ、自由に体を動かせなくなって、どうやって生計を立てていったのかなどを書いていきたいと思います。

1975年生まれ。長崎県佐世保市出身・在住。愛媛県でライター・編集者・カメラマンなどとして活動していたときに脳梗塞になり、左半身麻痺の身体障害者となる。取材活動ができなくなり、ライターを廃業。障害者雇用の在宅ワーカーとなり現在に至る。障害者の仕事の仕方や見つけ方など自分の経験を紹介していきたいと思います。

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