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育児と家事と仕事と…ADHDのマルチタスク管理

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2021.10.26

ADHD界隈でたびたび話題に上がるのが「マルチタスクの管理が難しすぎる問題」。例にもれず私も苦労をしていました。今回はADHD当事者で、育児と家事をしながらフルタイムで働いている私が試行錯誤をした結果たどりついた「スケジュールとタスク管理の方法」をご紹介します。

執筆:とくら じゅん

はじめに

ADHD界隈でたびたび話題に上がるのが「マルチタスクの管理が難しすぎる問題」です。確かにADHDの特性上タスク管理が難しい、というのは致し方ないかもしれません。

しかし、特性だからといって逃げるわけにはいかない場面が必ずやってくるわけで…。私の場合、現在、「育児」「家事」「仕事」という3つをコントロールせねばならないという問題に直面しています。現在4歳と1歳の2児を育てながらフルタイムで働いているため、日常は正にドタバタ。常に部屋の片づけは後回しな生活を送っています。

今回は、そんな私が何とか日々を切り抜けている(と思っている)タスク管理の方法をご紹介したいと思います。

①忘れてはいけないことはメモをして、必ず見える場所に貼っておく

シンプルに「メモをして、見えるところに貼っておく」という対処法です。

私は付箋に書いたメモ(例えば「大根買う」「米を炊く」というような短期的なもの)を、テーブルの自分の席に貼っておいています。この方法の良いところは、食事や作業の度に必ず目に留まるということです。やり終えたところに線を引いていくと「何だか色々やったな」という達成感もあります。

メモの難点は、スルーしてしまう可能性があることです。紙なので、光るわけでも音を出してくれるわけでもありません。せっかく前日の夜などに用意しておいても、一日中うろうろしているようなときなど全く気付かない場合も。

私は「自分の手にメモする」という方法も用いますが、同じ理由で失敗することも多々あります。まさか手を見ないことがあるとは思わず自分でも驚きますが、視界に入っていないのだからもうどうしようもありません。

極論、「それはそれで仕方がないか。」と割り切ることも必要かもしれません。

②リマインダーを使う

多くの方が既に試しているかもしれませんが、私も色々なリマインダーのアプリを試しました。色々やってみた結果、現在は「普段予定を入れているスマホのカレンダー機能に追記しまくる」という方法に落ち着いています。

「なぜ便利なリマインダーアプリがたくさんあるのに、シンプルなカレンダーに入力しているのか」と疑問に思われるかもしれませんが、答えは簡単。そもそもリマインダーに登録する、という作業を忘れるからです。自分でも何となくわかっていたことですが、習慣化されていない新しいことを始めると、とにかく漏れまくります。

であれば、昔から使ってるカレンダーのアプリにタスクを予定として入れておく方がよほど間違いがありません。私がもう5年以上使っているカレンダーアプリは、予定が記載されている前日の23:50になると、通知が来るようになっています。

通知の時間指定もできますが、やることを複雑化して面倒になってしまうと予定を追加しなくなるリスクがあるため、時間は「15:00 美容院」などの文字で入れておくことにしています。

何か準備する必要がある場合には「運動会:持ち物(軍手・ビニール袋)」などと入れておくことによって、中期の予定も見逃しにくくなりました。

もちろんそれでも結構抜けていることがあるのですが、それはそれで仕方ありません。

③とにかく自分以外の人に情報を共有しまくる

最終手段として、私は「絶対に忘れてはいけないタスクは人に共有しておく」という方法を取っています。

とにかく、何でも夫に伝えておくのです。もちろん、相手が忘れていたからと言って責めることはありませんし、相手にとって負担になるような伝え方はすべきではありません。

例えば複数の予防接種予約や家計管理というような長期で覚えておかなくてはならないこと、調整が複雑化するためミスが起きやすいものについてはとにかく共有しておきます。可能なら、主たる担当はそのまま夫に切り替えてしまうのです。

かなり諦めに近い方法に思えますが、私が主体として動いていては絶対にミス(しかも結構致命的な)を犯す可能性があります。ミスが起きると困る重要な予定は夫に全て共有して、できるだけ自分一人で管理しなければいけない状況を作らないようにしています。

診断を受ける前の私は、保育園で用意するように言われたものをボロボロ取りこぼす状態でしたが、現在は夫に保育園の送り迎えを任せることで、園からの伝達は全て夫を介して行われます。このため、私は一つ一つ夫に確認しながら作業だけをすれば良くなったのです。今ではほとんど提出物を遅らせることもなくなり、何とか先生の手を煩わせることなく過ごしています。

主たる担当者が自分の場合でも、忘れたら大変なことになりそうな情報を一人で抱えておく必要はないのです。相手がパートナーであれば、「家庭内のことに主体的であれ」という名目で共有しておくと良いです。

一人暮らしでも、もし周りに助けてくれる人が居るなら、情報をガンガン共有しておくのは良いかもしれません。できれば①②の管理方法とかけあわせるのがおススメです。

相手が忘れていてもそれはそれで仕方のないことですし(別に相手は自分のリマインダーではありませんから)、運が良ければ「あれ、明日じゃない?」なんて教えてくれるかもしれません。

④仕事は来た瞬間にやる

会社で仕事をしているときに「忘れてた」は致命的です。最悪の場合、クビになりかねません。

家庭ではカレンダーに入れたり夫にシェアすれば良かったことも、会社での仕事となると中々そうもいかないものです。どうしたら漏れないのか、と考えた結果「来た瞬間にやる」という解決策にたどり着きました。長期のプロジェクトでも同じです。

とにかく受けた瞬間に先までの予定を綿密に切り、細かいタスクとして日々に割り振っておくことで、その日のタスクとしては「来た瞬間にやる」ができる状況を作っておきます。

細かいタスクは今すぐ処理!私の仕事のタスク管理方法は、これに尽きます。

まとめ

私のタスク管理方法はかなりガサツなやり方かもしれません。

しかし、これくらいシンプルにしておかないと、スケジュールの入れ忘れや先延ばしによってそもそもタスクが見えない状態になりかねないのです。

一つ注意しなければならないのは、どの方法をとっていたとしても、子どもという不確定要素が入ってくると、とてつもなく管理難易度が上がるということです。タスク記入中に事件(小麦粉を床一面に撒く、オムツの中の排泄物を取り出して食べようとするなど)が発生してそのまま忘れてしまう、ということもまま起きます。

そんな時は「仕方がない」と諦めるか、自分を信じるかの2択になってしまうので、まだまだタスク管理については改善の余地がありそうです。

今回ご紹介した手法はもちろん完ぺきではありませんし、人によって合う合わないがあると思うので、一概に皆さんにおすすめできるわけではありません。こんな感じで私は2児を育てつつ日々を送っています。現状では幼児と乳児の育成経験しかありませんが、これから小学校、中学校と進学していくことを考えると、更にタスク管理は難しくなっていくでしょう。

まだまだ私もより良い方法を模索中ですが、この記事を読んで何かのヒントになれば嬉しいです。

1991年生まれ。下町暮らしのフリーライター・イラストレーター。出産後ADHDの診断を受ける。様々な立場の生きづらさを考えていきたい人。

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