誰もが働きやすい環境を作ることで優しい社会に
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2021.10.30
前回の記事で、「私は虐待や機能不全家族について知ってもらうためにライターを始めた」と書いたのだけど、ライターを始めた理由は実はもうひとつある。
執筆:柊 Syu
今年、4歳の息子が発達障害の診断を受けた。
診断名は「自閉症スペクトラム(ASD)」だ。最近では発達障害についての知識がだいぶ世の中に広まってきたから、この障害名を見聞きしたことがある人は多いだろう。
しかし、同じ発達障害、診断名としてもその発達特性の出方や程度は人それぞれであることはもっと社会に広まって欲しい知識であると思っている。
私の息子はとにかく対人関係が苦手だ。
入園してから、毎日のように登園拒否が酷かった。朝、登園の準備をするのに泣いては大暴れして、そんな息子の様子を見て私も一緒に泣いてしまうことも多かった。こんなに嫌がっているのに、これは息子のためになっているのだろうか...と悩む日々を過ごしていた。
そしてコロナで半年ほど遅れた3歳児健診でそのことを相談してみると発達相談を勧められ、今年、発達検査を受けて「自閉症スペクトラム(ASD)」と診断された。
そこから発達事業所とも繋がり、今ではそこのスタッフさんや通っている園の先生方などたくさんの人が息子のために支援をしてくださっている。そのおかげか、今の息子はだいぶ落ち着いてきたように思う。
本当ならば、息子が幼稚園に通い出したら、以前働いていた職場に戻ろうと思っていた。しかし、先ほど書いたような息子の様子を見て、「これはしばらく外では働けないな」と悟ったのだ。
現に、年中になった今でも園には時折休みながら、「今日は半日だけね」といった具合で通っている。「外で働けないのなら...」と思い、昔からなりたいと思っていたライターを目指そうと思ったのだ。
発達障害児を育てている私が今、外で働こうとすると、職場には「柔軟なシフト調整」、「急な欠勤をしても可能」といった、それはとても難しいことを求めなければならない。そして、そんな融通の利く職場はほとんど無いだろう。
息子のことを一番に考えると、必然的に私は外で働くことを諦めなければいけなくなったのだ。
きっと、社会には私のような発達障害児の親はたくさんいるのだろう。もちろん、発達障害児の親だけの問題では無く、持病や家族の介護などで外で働くことが難しい人もいる。
人は働くことで、社会と繋がりを感じ、安心感や生きがいを持つことができる。
それなのに、働きたくても働けない人がいることは、社会にとっても大きな損失ではないのだろうかと私は思う。
働きたくても働けない人達が安心して働けるようになるには、誰もが働きやすい環境を作ることが、最も必要なことではないだろうか。
まずはその第一歩として、発達障害やその他の障害、病気、介護問題などの知識と理解が社会に広まることが大切なことだと思っている。だから、私はライターとして、そして発達障害児の親として声を上げていきたい。
そして、誰もが働きやすい社会になることは、優しい社会になることにも繋がるのではないだろうか。
外で働きたい人もいれば、家で働きたい人もいるだろう。多様な働き方を認めることで、誰もが生きやすい優しい社会になると私は信じている。今の子供達がそんな社会で暮らせるように、と心から願っているのだ。