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産院で起こったショックな話

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2021.11.9

第2子を妊娠したのは、第1子が3歳の時。ADHDの診断を受けてから1年程が経ち、投薬治療の方針も定まり、薬にも慣れてきた頃でした。近所の産院での出産を決め、2回目の診察を受けたとき、「ここで出産するのは難しい可能性がある」という衝撃的な一言を受け取りました。どうやら発達障害があることに問題があったようで…。

執筆:とくら じゅん

第2子のお産の時の話

私が第2子を妊娠したのは、第1子が3歳の時です。

当時は、ADHDの診断を受けてから1年程が経ち、投薬治療の方針も定まり、薬にも慣れてきた頃でした。

最初のお産では、初産ということもあり、何も勝手がわからず、とにかくNICUもある大きな病院で、と病院を選びました。ただ、第二子の時には近所に大きな病院がなく、また、無痛分娩を行っている産院を見つけたため、そこで出産することに決めました。



入院できない!?

最初の検診時、現在処方されている薬や、かかっている病院などについての質問がありました。私は、妊娠発覚直前までストラテラという薬が処方されていたため、問診表に記載し、心療内科を受診している旨も記載しました。

その時点では、医師から特に何かそれ以上の質問はなく、今後の流れや、現在の状態・週数などについての話をして検診は終わりました。

どうやら経過に問題はなさそうだ、と特に不安もなく向かったその次の検診でショックを受けることになります。

2回目の検診のこの日は、出勤曜日の関係で前回とは違う医師が検診を行うことになっていました。

前回の医師よりも随分高齢で、話を聞けば、院長とのことでした。

一通り内診などを終えると、なんと「ここで出産するのは難しい可能性がある」と伝えてきたのです。まるで想定していなかった一言に驚きを禁じ得ませんでした。

どうやら、その医師が言うには、発達障害だということが問題であり、現在受診中の心療内科で「発達障害の診断書」と「出産可能である旨の書類」を書いてもらわなくてはならないそうです。

前回そんな話は全く出ていなかったため、念のため、本当に必要なのか?ということを何度も聞き返しましたが、この産院で入院・出産をするならば必要だという一点張りでした。

既に他の病院に入院の予約をするには週数が経ち過ぎており、私はここで受け入れてもらうしかありません。

こういうものなのか?それとも特殊な対応なのか?無事に入院することはできるのか?受け入れ先のないままお産が始まってしまったらと思うと不安でたまりません。もし、これからとても遠くの病院に転院することになったら、夫は面会にも来られないかもしれません。

不安は尽きませんでしたが、とにかく私はかかりつけの病院で「出産可能」という一筆を書いてもらうことにしました。

出産可能だという書類を書いて欲しいことを心療内科の医師に相談すると「そんなん聞いたことないわ!」という驚きの表情。どうやらあまり一般的な対応ではなかったようです。

しかし、それならば、なぜわざわざこういった対応を求められたのでしょうか?

疑念は常にぼやぼやとあり続けましたが、そのまま病院を変えることはしませんでした。やはり近くにある病院は既に受け入れ可能な時期を過ぎていたからです。



医師の言葉に安堵

3回目の検診時、前回言われた通り、「発達障害の診断書」と「出産可能である旨の書類」を医師に渡しました。

この時は、初回の検診で担当してくださった医師です。

書類を見るやいなや「これ、必要だって言われたんですか?もしかして院長ではありませんか?」と驚いたような顔をしていました。

どうやら、この産院全体の方針ではなく、院長だけが発達障害の妊婦を不安にさせるような対応を取っていたようです。

これには驚きましたが、全体の方針ではないことにほっと一安心しました。もしかしたら今回の検診で「やはり受け入れは難しい」と言われるかもしれないと不安だったのです。

他の医師が必要ないとしているものを、あえて確認する理由はいったい何だったのでしょうか?

その後の検診では、必ず院長が担当ではない曜日に予約をするようにしました。複数の書類記入、入金、スケジュールの調整でバタバタではありましたが、大きな問題なく、入院の手続きを行うことができました。

切迫早産で入院したり、無痛分娩のはずが麻酔が効くよりお産の進みが早く陣痛がめちゃくちゃ痛いなど、出産時のトラブルはいくつかありましたが、無事にお産を終えました。入院中も助産師・担当医の皆さんのおかげでとても安心して過ごすことができ、感謝しかありません。



まとめ


色々ありながらも、お産自体は母子ともに健康でしたが、コロナ禍での自粛生活の影響もあり、その後約一年で産後鬱を発症することになりました。

もしかしたらあの時の院長の確認は「お前には育てられない」という意味だったのでは、と悩んだこともありました。とても良い産院だっただけに、今でも院長の一言は不思議でなりません。

もちろん、医師によって治療の方針は違うこともあるとは思いますが、発達障害があるからという理由で「受け入れられない可能性がある」という説明を受けたことは、今でも小さな棘のように心に残っています。

過去に何かトラブルがあったのかもしれません。
受け入れ後に危険なことが起こった事例があったのかもしれません。

だとすれば事前に説明をしておくべきだったのではないでしょうか。もし、そうでなければ、院長の中にある発達障害という言葉への無理解からくるアレルギーのようなものを感じるのです。

産前産後という非常にデリケートな時期の応対としては、もう少しだけ配慮が欲しかったというのが本音です。

「命がかかってるのにバースプランにこんなことを書くなんて、お産にきちんと向き合ってない」というような医師の発言が最近話題になっていました。

ただでさえ精神的に不安定な時期に、どうしてそんな心ない言葉をかけることができるのでしょう。いたずらに不安を煽るだけなのではないでしょうか?

お産の現場は常に命懸けだというのは、間違いないことです。どんなに医療が発達しても一定のリスクと隣り合わせなのだと思います。しかし、もう少しだけ、医師一人一人が妊婦のこころも大切に考えてくれるようになればと願ってやみません。

1991年生まれ。下町暮らしのフリーライター・イラストレーター。出産後ADHDの診断を受ける。様々な立場の生きづらさを考えていきたい人。

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