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障害や病気を抱えて、進学を目指すあなたへ

~そして、それを支える周囲の方へ

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2021.11.24

「大学受験したいけど大学の選び方が分からない」
「障害や病気で入試や学生生活で配慮を受けたいけど配慮ってどうすれば受けられるの?」

今回は、そのような疑問に、志望校決定と配慮申請の流れを絡めながら、1例としてお答えしたいと思います。
ASD、ADHD、双極性障害、起立性調節障害、慢性疼痛のある私が、大学生になるまでの話です。

執筆:萩 雪希 Yukino Hagi

高3春、模試の成績が壊滅的だった

高2の冬から鬱と希死念慮が本格的に悪化し、冬の模試は受けられず、診断書の提出をもって特例的に免除され学年末考査すら受けられずに高3になりました。

希死念慮に襲われながら受けた模試は、前々回(高2秋)の模試から偏差値が20も下がり、正しく壊滅的と言える結果でした。その模試の結果が返ってきたのは夏、志望校を固めなくてはならない時期とも重なっていました。

そこで私は担任の先生と面談をしました。過去の模試の成績から、安定して高めの偏差値と得点を出すことができていた「国語と社会科目の2教科をメインにすることで私大を目指し、共通テスト利用入試のために夏休みは加えて理科基礎も勉強する」という方向になりました。

そこから国語と社会科目で受験できる大学を探しました。いくつか候補を上げ、その中から私の目に最も魅力的に映った大学を第一志望校(現在の在籍校)と定めました。

気になる障害への対応については、共通テストのHPも大学のHPも見ましたが、「個別対応のため問い合わせください」としかありませんでした。つまり、私は大学側が配慮可能かを知らずに、高3の夏に志望校を定めたのです。
この志望校決定には、母も全面的に賛成してくれ、家族内でのゴタゴタは特にありませんでした。

高3秋、大学側へ問い合わせてみた

夏休みは「高校の対策講座を受け、自習で理科基礎をメインに少しだけ世界史で個別指導を受ける」といった配分で勉強を進めました。しかし、躁と鬱の波に振り回され思ったように勉強ができなかったことで理科基礎が伸びませんでした。このことから、共通テスト利用入試を辞め、第一志望校の一般入試のみに絞るという後のない大きな決断をしました。

その決断をすると同時に、苦手で先延ばしにしていた入試広報課に電話で問い合わせることをしました。事前に入試時に受けたい配慮事項とその理由をまとめ、それを読み上げることで伝え漏れを防ぎました。

緊張した私の電話を、担当の方は丁寧に聞き取ってくださり、私の希望する配慮が可能かを確認して2週間ほど経ってから折り返し連絡をくださいました。結果として、希望する配慮は可能であることが分かり、深い安堵とともに一層勉強をせねばという気持ちにもなりました。

オープンキャンパスでの確信

配慮が可能ということが分かったうえでオープンキャンパスにも参加しました。

当日、個別相談会の会場に向かうと、今迄電話でやり取りをしていた担当の方と、もう一人広報課の方がおられ、入試時は勿論その先、在学することになった場合に配慮が可能であること、その為に診断書が必要であることを丁寧に説明して下さいました。

また、学科の個別相談のブースにも案内していただき、現在在籍する学科の教授ともお話をしました。広報課の方も教授陣も皆、丁寧な対応で、パンフレットでは分からない温かい空気感を感じました。

オープンキャンパスで、この大学に通いたいという思いが揺るがないものになり、受験勉強の励みになりました。

オープンキャンパスでは、空気感やその大学の学生や教授陣の人柄など、HPやパンフレットでは判らない本当の大学の姿が見えます。

志望する大学のオープンキャンパスには最低1度は参加することを改めて強く勧めます。

診断書と入院、入試

オープンキャンパスで診断書の提出を求められたので、11月の下旬に当時の主治医に診断書を書いてほしいとお願いしました。病院にもよりますが、その病院は完成までに2週間ほどかかったので、診断書が必要と分かった時点で申請をしておくのをお勧めします。

12月の下旬、私は調子を大きく崩し、1週間ほど精神科閉鎖病棟に入院をしました。

入院前に、万が一のことを考え、1度オープンキャンパスに行っており、かつ入試形態も似ていた大学を併願校に定めました。

入院中も受験勉強を進めました。病棟のスタッフさんも皆、応援してくれ、調子が悪い中でも励みになりました。入院生活についてはまた別の記事でご紹介したいと思います。

そして、診断書を同封した願書を送付し、出願。なんとか入試本番を迎えました。手ごたえは無く、不合格を半ば確信したものの2校とも合格を頂き、今春、本命校で大学生になることができました。

大学生になってみて、思うこと

私は今、配慮を受けながら大学生活をしています。コロナ渦や持病でうまくいかないこともあります。それでも、興味のあることを学べるのは、私にとってとても楽しく幸せなことです。

受験勉強は私にとって大変な面が多かったですが、それ以上に大学生活で得られるものは多く、1年間頑張ったことは全く後悔していません。その理由は、大学選びから受験勉強のスケジュールまで全てを自分で決断したことが大きいように思います。

何より、「配慮を得られる=理解がある」という環境は、何かあった時にすぐに相談ができ、教授陣で共有をして頂ける環境というのも、学生生活の支えとなっています。

進学を目指す方とその周囲の方へ

まず、進学をあきらめる必要は全くないということを伝えたいです。

勿論、障害があるから、持病があるから、という点で有利になることは全くありません。受験の難易度は平等です。なので受験勉強も平等に行います。逆にその点で、障害や病気がハンデになる、ということはあるかもしれません。

その場合は、服薬で体調管理をしたり、休養を取り入れたり、勉強計画の見直し、それでも志望校合格が難しそうであれば、変更という決断を迫られるかもしれません。

ですが、変更したとしても、その進学先で何を学び、実りのある学生生活にしていくかは、進学先の変更よりも重要であり、学ぶこと、学んだことを血肉にしていくことが学生生活の本質であると考えます。

それと同時に、卒業後に「どう社会の中で生きていくか」を考えることも時間に余裕のある学生生活のなかで必要であると考えます。

私自身、持病でうまくいかないこともありますが、自分から動いて支えてもらいながら決定を下し、入試を受けて、自分で選択した大学に通って興味のあることを学べている今をとても幸せと感じています。

周囲の方は、どうかご本人の決断を尊重し、困っていたらアドバイスをしたりすることで、受験に向かう本人を支えてあげてほしいと思います。なぜなら、私は多くの人に支えられて受験を乗り越えることができたと感じているためです。そして、支えてくれる人自身がつぶれないように、なるべく多くのサポート体制を作っておく、というのも同様に重要だと思います。

この記事が、進学を目指す方とその周囲の方の希望となりましたら幸いです。
お読みいただきありがとうございました。

2002年生まれ。長野県出身/愛知県在住。公認心理師・臨床心理士を夢見る大学1年生。
24週1日の早産、489g/29㎝の超低出生体重児。ASD・自閉スペクトラム症(高2で告知)。ADHD(大1で判明)。二次障害として双極性障害、起立性調節障害、元?過敏性腸症候群。全身の慢性疼痛。自傷行為、OD、自殺企図、閉鎖病棟入院あり。ネガティブでも希望のある文章を心がけます。

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