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障害者雇用で知っておくべき基礎知識5選(2)障害者雇用促進法とは②~障害者差別禁止指針~

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2021.3.8

ここでは障害者雇用に初めて挑戦する人事担当者のために分かりやすく、(1)障害者基本法(2)障害者雇用促進法(3)障害者総合支援法(4)障害者差別解消法(5)障害者権利条約の5つに絞り障害者雇用に関連する知識を法律と実態を照らし合わせながら紹介していきたいと思います。

前回は(2)障害者雇用促進法にある障害者雇用率制度について解説しました。

今回は、障害者に対する差別の禁止について解説したいと思います。

執筆:中塚 翔大 Shota Nakatsuka

障害者雇用促進法は大きく分けて4つ

障害者雇用促進法は、障害者の均等な雇用機会の提供と待遇の確保含めた雇用の安定、能力を有効に発揮するための措置など職業生活において自立を促進することを目的としています。

大きく以下4つのカテゴリーで構成されています。

  • 職業生活における自立を図るための職業リハビリテーション
  • 障害者の雇用を義務とする障害者雇用率制度
  • 障害者に対する差別の禁止及び合理的配慮の提供
  • 障害者雇用の経済的側面のアプローチである障害者雇用納付金制度

ここでは特に人事担当者が知っておくべき障害者に対する差別の禁止について解説したいと思います。

障害者差別禁止指針とは

障害者雇用促進法では、障害者差別禁止指針を定め、企業側(事業主)は障害があることを理由として差別することを禁止しており、労働者の募集および採用における機会の均等と賃金、教育・訓練、福利厚生などあらゆる待遇について不当な差別的な取り扱いをしてはならないとしています。

事業主は、労働者の募集及び採用について、障害者に対して、障害者でない者と均等な機会を与えなければならない。

引用元:第二章の二 障害者に対する差別の禁止等(障害者に対する差別の禁止)第三十四条


事業主は、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、労働者が障害者であることを理由として、障害者でない者と不当な差別的取扱いをしてはならない。

引用元:第二章の二 障害者に対する差別の禁止等(障害者に対する差別の禁止)第三十五条


不当な差別的な取り扱いとは

条文の通り、企業側(事業主)は募集から採用活動に至るまで障害があることを理由として障害者に対して不当な差別的な取り扱いをしてはいけません。

具体的には、

  • 募集または採用の対象から排除すること
  • 募集または採用にあたって、障害者に対してのみ不利な条件を提示すること
  • 採用基準を満たす者の中から障害のない方を優先的に採用すること

つまり、業務遂行上で必要な一定の能力を有する者には、障害の有無にかかわらず、均等な機会の提供が求められています。

また、採用後においても同様に障害があることを理由として不当な差別的な取り扱いをしてはいけません。

採用後とは、賃金、配置、昇進、降格、教育訓練、福利厚生、職種変更、雇用形態の変更、退職の勧奨、定年、解雇、労働契約の更新など全ての企業と労働者における関りを指しています。

全ての共通事項として、

  • 障害があることを理由として、その対象から排除すること
  • 障害があることを理由として、その対象を障害者のみとすること
  • 障害者に対してのみ不利な条件を提示すること
  • 障害がない者から優先して対象とすること

障害の有無にかかわらず、性別や年齢など無意識的に不当な差別的取り扱いをしている実態は組織内に多く潜んでいるのではないでしょうか。

障害者雇用に取り組む企業側(事業主)においては、人事担当者はもちろん、定期的に受入れ部署など社内全体の知識と理解の浸透を図ることが求められてくるでしょう。

まとめ

募集から採用活動、その後に至る差別の禁止については人事担当の方にとっては理解しやすい内容ではないでしょうか。

差別に関するトラブルの原因の多くは、入社後の受入れ部署における知識や理解不足があげられます。

とはいえ、リスクを意識し過ぎた中で「差別禁止」の言葉が慎重さを生み、全てがダメだ!と腫れ物に触るような対応になってしまうと双方にとって働きづらさは増すばかりです。

  • 積極的差別是正措置として障害のある者を有利に取り扱うこと
  • 合理的配慮と適正な評価の結果、障害のある者とない者で異なる取り扱いとなること

本人との話し合いを重ねる中で、合理的配慮に係る措置を提供し、適切な評価をした結果として異なる取り扱いとなる場合には何も問題がなく、一方的な決めつけや判断に執着しないという点を留意して置くことが大切といえるでしょう。

ひとことで障害者雇用といっても、障害種別・度合い、特性もさまざまで障害者という一括りには到底できません。

メディアや参考書で得た知識、過去の経験値は多くの気づきを与えてくれますが、当該障害のある者が当てはまるとは限りません。

まずは入社前の採用段階から知識と理解を醸成することを目的に、配属部署の方も面接官として積極的に参加してみてはいかがでしょうか。

1985年生まれ。多様性を推進するプロジェクト『パラちゃんねる』の管理人。人材派遣・人材紹介など就職・転職支援に精通し、延べ1万人以上のキャリア支援の経験を持つ。耳で聞くラジオ、目で読むコラム、自由な出会いの求人サイトを運営し、障害のある方々含め多様性の浸透に向け活動を続けている。

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