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若年性パーキンソン病と診断された私の葛藤~3

〜子供たちの想い 後編〜

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2022.1.19

辛いと思えば限りなく辛くなれる、不幸と思えば限りなく不幸になれる。

自分の置かれている今の現状を辛いと思うか不幸と思うか、卒業式の出来事は間違いなく私にとって辛いものでした。
でもこの経験があったからこそ、私も子供たちもそこから一歩進む必要があると思いました。

時には現実から逃げることも大切です。
そして現実を見つめることも大切です。

執筆:岩井 里美 Satomi Iwai

出会いと長女の本音

卒業式後しばらくして、私はある女性と出会いました。
その女性も同病で長女より一つ上の子供がいて、住んでいるところも近くだとわかりました。

そのことを長女に話すと、

「ウソ?本当に?」

と嬉しそうな顔をしました。

そして続けて言った言葉が

「私とこだけじゃなかったんだ…」

子供の世界は私たち大人が考えるよりずっと狭いです。
長女は今まで自分のお母さんだけがパーキンソン病だと思ってい
たのかもしれません。

「お母さん、買い物に行くと?一緒に行こうかな」

この日を境に長女の心の中にも変化があったように感じます。

長男の気持ち

長男は長女に比べ驚くほどオープンな性格です。

オンラインゲームをしながらお互いの両親の話になったようで、突然

「俺のお母さん、パーキンソン病っていう病気なんよね」

と言っているのを聞いた時は、私の方が動揺したくらいです。

そんな長男ですが、やはり私がパーキンソン病という現実は心に大きな不安としてあるようで一度だけ

「パーキンソン病になりたくない」

と泣いていたことがありました。

そうだよね、私だってなりたくなかった。

私にできること

若年性パーキンソン病は遺伝も関係してくると聞いたことがあります。
私の場合、身内にパーキンソン病の人はいませんが仮にいたとしても遺伝子をどうこうすることはできません。

ただ間違いないのは「私は若年性パーキンソン病」ということです。

診断された当初は、何度も何度も現実から逃げてきました。
それでも逃げ切ることはできないのです。

だったら、受け入れることはできなくても今の現実をみつめて、パーキンソン病と共に生きていこう。
泣いても笑っても1日は24時間。

迷うことも泣くこともあるけど、自分の選択した道に後悔なく生きている姿を見せることができたら…

私が子供たちにできることは、こう言うことかなと思っています。

若年性パーキンソン病という病気を知ってもらうために

以前から執筆活動や企業に対し講演をすることで若年性パーキンソン病のことを広めてきました。
しかし子供たちと関わることはありませんでした。

子供たちだからこそ伝えたいことがある。

そう考えていた時に、冒頭でお伝えした女性から学校で講演をしないか?
という誘いを受けました。

私は迷うことなく誘いを受けたものの、子供たちにどう伝えるか?と言う部分はとても難しかったです。
何度も先生とやり取りを重ね本番に臨みました。

子供たちの「知りたい」という正直な気持ちは良くも悪くもとても強いです。
でもそれは、その分純粋だからだと思います。

「何で勝手に動くの?」

「運転危なくないですか?運転してるんですか?」

「私のおばあちゃんも同じ病気です」

講演が終わった後も集まってきて色んな質問をしてくれました。

子供の頃から知る環境を作ること、関わり続ける環境を作ることは、将来に繋がります。

世の中には色んな人がいる。

コロナの影響もあり、学校との調整が難しい部分もありましたが、これからも可能な限り足を運びたいと思っています。

そしてYouTubeも始めました。
教科書で習うより、話を聞くより、実際に見た方がわかりやすい。
そう思ったからです。

ただ発信するということは責任も伴ってきます。
パーキンソン病は人それぞれ症状が違うため、あくまでも私の症状であることは伝えるようにしています。

子供たちも最初は驚いていましたが、今では撮影に協力してくれるようになりました。
これからも可能な限り発信していきたいと思います。

1983年生まれ。パーキンソン病の社会的認知、就労支援、下着の製造、繋がり続ける教育の4つの柱を軸とした会社Limの代表(個人)。生きにくさを感じつつ楽しむこと、笑うことをモットーにしています。

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