難病患者とワクチン|リスクとの板挟み
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2022.2.7
昨今、新型コロナウイルスのワクチンについて、さまざまな議論がなされています。
ワクチンを打つ・打たないの狭間。どっちに転んでもリスクが伴う難病患者の、胸の内をお話させてください。
執筆:xu
先日、恐ろしいニュースをツイッターで拝見しました。
『ワクチン未接種者の外出自粛要請』
正直、うっすらとワクチンパスポートのような話題が出ていることは知っていました。
実家に帰った時に母とも話しましたが、ここまで来ると人権侵害になりうるのでは、と。
反ワクチン派でも陰謀論信者でもなんでもありませんし、このような話題で刺激するのは避けたかったのですが、難病患者は接種するか否かの狭間にいるということをお伝えしたくて、今回この記事を書かせていただいています。
ワクチンを接種するか否か
コロナワクチンの券が届いた時、わたしはすごく悩みました。
難病患者は、高齢者の次にクーポンが配られていましたので、まだ接種事例が少なく、周りにもワクチンを打った人が少ない状態で、相談できる相手もいません。
自分自身、薬での副作用が強く、もしかしたらアナフィラキシーが起こってしまうかもしれない。
そう思うと、なかなか接種へ踏み切ることができませんでした。
そこで、そのことを主治医に相談してみたところ、わたしが受診している膠原病内科の患者さんで、あまり打ったという人は聞かない、とのことでした。
さらに、打ったほうがいいですか、との問いに対しては、「医者としてこういうのはあんまりかもしれませんが」と前置きをした上で、「どっちでも良いと思います」と答えてくださいました。
研究結果では、全身性エリテマトーデスの患者でも安全性が高いと言われていますが、前述したとおりわたしは副作用をたくさん抱えています。それゆえに、ワクチン接種はなかなかリスクが高い橋だと感じます。
主治医も、安全性は高いと言われているけれど、もう少し待ってみてもいいんじゃないかな、との見解でした。
感染した場合のリスクもちらつく
主治医の言葉を受け、現在まで至りますが、もちろん頭にちらつくのは感染した時のリスク。
基礎疾患のある人は重症化しやすいという報道を受け、胸がきゅっと痛むのを感じます。
ワクチンを接種するかしないか。どちらに転んでもリスクしかなく、八方塞がりです。
そんな狭間にいるわたしに、新たな試練が見え隠れするようになりました。
そう、ワクチンパスポートや未接種者外出自粛です。
ワクチンの効果について、どう捉えるか
ところで、ワクチンの効果は一体なんでしょうか。
ワクチンは、弱体化したウイルスを体内に取り込み、自分の中で免疫をつけることによりそのウイルスと戦う術を覚えさせるためのものですね。
そのため、ワクチンはあくまで自分自身の防衛に効果があるとわたしは認識しています。
しかし、前述したワクチンパスポートや未接種者外出自粛は、ワクチンを打っていればお店に入ることや外出することが許可されるということ。
なんだか、ワクチンを接種すればなんでもOK、のようなニュアンスに聞こえてしまいます。
ワクチンは、打てばウイルスを無効化するのではなく、もしウイルスが体内に入った場合に発症することはなくても、体内を媒介して他の誰かにうつしてしまう可能性があります。
そのため、たとえワクチンを接種していたとしても、誰かが感染してしまうリスクや蔓延してしまう可能性があるということです。
打たないのではなく、打てない人もいることを知って
このように、ワクチン未接種者を隔離したところで、新型コロナウイルスの感染を防ぐことは難しいのではないかとわたしは考えています。
そのため、マスクをつけて手指の消毒をすることや不要不急の外出は控えるなど、一人ひとりが感染対策に努めるしかほかならないと思います。
そして、わたしのような難病患者などは接種することもリスクが高い場合があり、ワクチンを打たないのではなく、打てないといったケースがあります。
どうか今一度、ワクチン接種についてこういった背景がある方がいることをご理解いただければ幸いです。