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自分とちがう障がいを持つ後輩に仕事を教えるときの工夫

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2022.4.7

現在私が所属しているNPO法人では、身体障がい者のみならず、知的障がい、発達障がい、精神障がいなど、様々な障がいのある人たちがいます。今回は、私が自分と障がいが異なる後輩に仕事を教えたときに、どのような工夫をしたのかについてまとめました。

執筆:榎本 佑紀 Yuki Enomoto

はじめに

現在私が所属しているNPO法人では、身体障がい者のみならず、知的障がい、発達障がい、精神障がいなど、様々な障がいのある人たちがいます。そして、健常者と呼ばれる方たちも一緒になって、みんなで協力し、フリーペーパーの制作に取り組んでいます。

多種多様という言葉がまさに当てはまる職場で、自分とは異なる障がいのある後輩に仕事を教えるときに、どのような工夫をしたのかについてまとめてみました。


仕事を教える前の心構え

私は大学を卒業してから2年半、就労継続支援A型事業所で働いていました。就労継続支援A型事業所とは、障がいや難病のある方が雇用契約を結んだ上で、サポートを受けながら働くことのできる福祉サービスのことです。

当時は、チーム内で一番年下だったこともあり、周りの先輩から仕事を教えていただくことがほとんどでした。

その後、現在所属しているNPO法人に移り、フリーペーパーの編集部に入って初めて、後輩に仕事を教えることになりました。といっても、自分の経験が少ない自覚もあったので「本当に仕事を教えることができるのだろうか」と不安になったことを覚えています。

私が仕事を教えることになった後輩は、事務局業務に取り組んでもらうことになりました。それまで私が一人で行っていたメルマガの配信、新規の読者登録、フリーペーパーの設置先とのやり取りなどの仕事を、その後輩との2人体制で行うことになりました。

仕事を教えるにあたり、上司からのアドバイスは「後輩と同じ目線に立つこと」でした。「先輩だから」と上から目線にならないように意識しました。

相手の障がい特性をしっかりと把握する

まずは「相手の障がい特性をしっかりと把握しよう」と思いました。障がいのある人同士とはいっても、相手の障がいの理解度は一般の人と変わりません。また、障がい特性に応じて、仕事の教え方を変化させる必要があると思ったからです。

後輩の障がいは、脳性まひと発達障がいの重複障がい。特性として「一度にたくさんのことを覚えるのが苦手。指示を出す人も毎回固定してほしい」というものがありました。そこで、上司からの指示を私が分かりやすい言葉に言い換えて、丁寧にひとつずつ伝えることにしました。

「繰り返し教えてほしい」という希望もあり、以前教えたことであっても質問をされたときには再度教えるようにしていました。

ただ、障がい特性に配慮するとしても、相手の意向をそのまま文字通りに応えるだけではなく、少しでも工夫や改善できるところは伝えられればと思い、「なるべくメモを取って、見返しながら作業をしてみて。」と伝えました。実際、メモを見返す習慣がついてきた彼女の質問の回数は徐々に減っていきました。

質問をしなくても仕事の方法を見返せるように、手順書を作成したことはこちらの工夫です。PC画面のスクリーンショットを取り入れた構成にするなど、パッと見て分かりやすいようにしました。結果として、後輩1人でもスムーズに作業することができるようになりました。

小さな目標をクリアしていく

後輩に仕事を教えるときに、もう一つ心がけていたことは「大きな目標と小さな目標を立てる」ということです。

これは元々、私が通っていた就労移行支援事業所で就労支援員の方に教えて頂いた方法です。まずは、5年後の自分がどうなっていたいのか考えます。5年後の目標は、抽象的なものや、ざっくりとした方向性で大丈夫です。

「職場で活躍できるようになる」という5年後の目標を立てたとします。ただ、大きな目標のままだと、次は具体的に何をすればいいのかわからないままです。

そこで、その大きな目標を達成するために、今自分は何ができるのか考えます。職場で活躍できるようになるには、周りの人と上手く連携をとれる必要があるな、その一歩として、ビジネスの基本となる報連相のやり方を覚えよう、など小さな目標に分けていきます。

大きな目標は、抽象的なイメージに近いものかもしれませんが、小さな目標は具体的な行動であることが望ましいです。

さらに「一日の終わりに上司に仕事の進捗状況を報告する」など、1ヶ月ごとを目安に達成できそうな目標を設定します。この小さな目標を1つずつ達成していきながら、後輩に少しずつ自信をつけていってもらうようにしました。そして、目標が達成できたときには、私も一緒に喜んで「また一緒に頑張りましょう!」と声をかけました。

支え合って一緒に成長していきたい

自分とは異なる障がい特性の方に、どのような配慮をすれば、お互いスムーズに仕事をすることができるのか。後輩に仕事を教えるという経験を通じて、改めて「相手の立場に立って考える」ということについて学ぶ機会になったと感じました。

また、私たちのフリーペーパーのテーマでもある「多様性」について考え直すきっかけにもなりました。多様性は、実際のスタッフ同士のやり取りからも学ぶことができるものだったのです。

違う障がいの当事者同士でも、お互いの特性を把握できると自分の苦手な部分では手伝ってもらったり、自分の得意なことの部分で相手のサポートができたり、補い合えることへの気づきは、今後の財産になりました。


ときには、上司と後輩の意見が合わなくてぶつかってしまうこともあり、そんなとき、私は2人それぞれから意見を聞き「どうやったら、2人とも納得できるだろうか。」と妥協点を探すために奔走しました。

その一方で、私が悩んでしまったり、落ち込んでしまったときにはアドバイスをくれることもありました。仕事のことのみならず、プライベートの話まで相談できるような間柄になり、心強かったです。

これから、障がいのある新入社員に仕事を教えることになる方もいるはずです。そんな方には、「障がいがあるから…」と遠慮せず、仕事を振ってあげて下さいとお伝えしたいです。気兼ねなく接していただくことで、お互いにスムーズに仕事を進めることができると思います。

私もこの先、また新しいメンバーがNPOの活動に加わったときにも、自信をもって誠心誠意、後輩と向き合っていきたいと思います。

Co-Co Life☆女子部所属。出生時のトラブルにより脳性まひとなり、不随意運動や構音障害の障がい特性を持つ。就労継続支援事業A型でWEBライターを経験し、現在はNPO法人での事務をしながらライターとして誌面の制作も行っている。ライター歴は5年目。趣味は音楽鑑賞/読書/食べること

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