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カミングアウトを避けられない学校生活

病気のことをいつ・どう伝える?

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2022.4.18

いつ、どうやって持病をカミングアウトするか。

それは、私たち障害者にとって、悩ましい問題のひとつ。

私は学生時代、新しい友達ができるたび、カミングアウトのタイミングを思い悩むことが多かった。

執筆:古川 諭香 Yuka Furukawa

落ち着いたのは流れに身を任せるカミングアウト法

新しい友達ができる新学期は、いつも憂鬱だった。仲良くなるたびに、いつ病気のことをカミングアウトしようか、迷うから。

学校という場所は社会のように、黙っていれば病気がバレないと言うわけではない。先天性心疾患の私は体育の授業に出られないことがほとんどであったため、新しい友達ができると、「なんで、休んだの?」と聞かれ、渋々、持病をカミングアウトする…という流れだった。

こんなカミングアウト法でいいのだろうか。もしかしたら、知り合った段階や仲が深まる前に病気であることを伝えたほうがいいのではないか。

そう思ったこともあったので、出会ってすぐに相手に「私、心臓が悪くてね…」と伝えたこともある。けれど、どちらの伝え方をしても、相手の反応はさほど変わらなかった。

驚きはするが、ありがたいことに、「そうなんだ!どんな風に悪いの?」とちゃんと知ろうとしてくれ、病状を伝えると「しんどい時は言ってね」と温かい言葉をかけてくれた。

実際、小学校低学年の頃は、私をおぶって階段を登ってくれることになっていた担任がなかなか来ず、待機せざるを得ない私を見て、友達がおんぶして登ってくれることもあった。後に、危険だからと禁止されたけれど、できないことは当たり前のように助けてくれようとする友達の優しさが嬉しかった。

周囲のこうした優しさを受けるうちに、私は「病気をカミングアウトしよう」と力むのではなく、自然な流れで話せばいいのではないかと思えるようになった。

「なんで、体育に出ないの?」と聞かれる時がもちろん、一番切り出しやすかったけれど、相手が自分に秘密や深刻な話を打ち明けてくれた時や「諭香のこと、もっと知りたい」と言ってくれた時などもカミングアウトのタイミングだと思えるようになり、「実はね…」と自然な形で切り出すことができるようになったのだ。

自身も障害を“触れてはいけないタブー”にしない

そういう伝え方をしてきて感じたことは、ちゃんと説明すれば、意外と分かってくれる人や受け入れてくれる人が多いということだった。大人になって感じたが、子どもの頃のほうが周囲の受け入れは早かったと思う。

私もそうだが、人はよく分からないものやことは避けたくなったり、他人事だと片づけてしまったりすることも少なくない。けれど、少しでも病気の概要や当人の心境、できること・できないことを知ることができたら、互いの間に溝は生まれにくくなると思う。

ありがたいことに、私の場合は年齢があがると、病気をカミングアウトしても「びっくりしたけど、諭香は諭香じゃん」と言ってくれる友達が多かった。

付き合いが長い子の場合は目の前で障害者手帳を出すと、「普通に見えるから障害者って忘れてた(笑)」や「こんなに元気だと手帳、はく奪されるよ(笑)」と障害をユーモアに変えてくれることもある。

もちろん、感じ方は人によると思うが、私はこんな風に障害を“触れてはいけないタブー”ではなく、日常の中で普通に出せる話題として扱ってくれることが嬉しい。

そして、そうした言葉を聞くたびに、私自身が自分の障害を“触れてはいけないタブー”として扱ってはいないかと考えさせられる。

障害をカミングアウトする・しないは個人の自由だ。私は、どちらが正解だとも思わないし、自分が生きやすいほう、心が楽なほうを選べばいいと思っている。

ただ、学校生活のように、どうしてもカミングアウトせざるを得ない状況の時は、深刻な話であるからこそ、病名や症状、できること・できないことを自然の流れに任せながら悲観的や深刻になりすぎず、相手に伝えてみるのは、ひとつの手だと思う。

拒絶されたり、分かってもらえなかったりしたら…という恐怖はもちろん、ずっと心のどこかにある。だが、障害も含め、自分という人間をしっかりと伝えていけば、そんな自分と友達でいたいと思ってくれる人はいると、私は思う。

憂鬱な新学期、同じ病気と闘う先天性心疾患者の心が少しでも晴れたら嬉しい。

猫の下僕のフリーライター。愛玩動物飼養管理士などの資格を活かしながら大手出版社が運営するウェブメディアにて猫に関する記事を執筆。共著作は『バズにゃん』。書籍レビューや生きづらさに関する記事も執筆しており、自身も生きづらさを感じてきたからこそ、知人と「合同会社Break Room」を設立。生きづらさを抱える人の支援を行っている。

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