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”ともに創り、社会を前に進めよう“社会の文化、価値観を変革するインクルーシブデザインの可能性を探る。PLAYWORKS株式会社 代表 タキザワケイタさんインタビュー

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2022.6.13

『パラちゃんねるカフェ』がお届けする企業インタビュー。今回は、世界初となる「薄型ソーラービーコン内蔵点字ブロック」や「ミズノケーンST」などの開発を手掛けるPLAYWORKS株式会社 代表 タキザワケイタさんにお話を伺いました。

執筆:PLAYWORKS株式会社

はじめに

PLAYWORKS株式会社(プレイワークス)は、2020年4月に設立され、”ともに創り、社会を前に進めよう“のビジョンのもと、インクルーシブデザイン・サービスデザイン・ワークショップを活用した新規事業・サービス・製品・組織開発を支援しています。

最近では、視覚障害者を対象として株式会社ACCESS、セイコーホールディングス株式会社、株式会社サカイシルクスクリーンと共同で世界初となる、「薄型ソーラービーコン内蔵点字ブロック」を開発し、また、ミズノ株式会社とは白杖「ミズノケーン ST」を共同開発、販売するなど注目を集めています。

今回は、PLAYWORKS株式会社 代表のタキザワケイタさんに創業までの歩みや社会課題への向き合い方、今後の展開について伺いました。

『パラちゃんねるカフェ』がお届けする企業インタビュー。障害者雇用を推進している企業やソーシャルセクターに関心を持つ皆さまに、ぜひ読んでいただければ幸いです。

PLAYWORKSが挑む社会実装の壁とは

3期目を迎えるPLAYWORKS株式会社は創業以来、インクルーシブデザインを活用して障害者などの社会的弱者を対象とした新規事業・サービス・製品・組織開発を展開しています。まずは創業までの歩みを教えてください。


創業のきっかけは、グランプリを獲得した2016年Google「Android Experiments OBJECT」のスマート・マタニティマーク、2017年LINE「LINE BOT AWARDS」の&HAND(アンドハンド)にあります。障害者、高齢者、妊婦などの公共交通機関の利用や外出時に手助けを必要とする方を対象に支援するマッチングアプリで現在は&HANDに統一して展開しています。


この受賞を機に大手企業とのさまざまな協業プロジェクトがスタートし、一般社団法人PLAYERS(プレイヤーズ)を設立しました。一方で鉄道や航空会社などの公共交通機関との共同開発や実証実験では、悪用リスクの解決が絶対条件として立ちはだかることなりました。そのため一般社団法人PLAYERSとは別に、社会実装の実現に焦点を当てたPLAYWORKS株式会社を設立するに至りました。


公共交通機関では駅員の構内アナウンスが悪用されるケースもあり、新しい取り組みには常に慎重な対応が求められています。PLAYWORKSとしてどのような工夫があれば社会実装を実現できると考えているのでしょうか。


例えば、&HANDであれば手助けを必要とする方と周囲にいる不特定多数の支援者を、LINEアプリでつなぐことができます。私たちは常に複数の目があることで悪用されるリスクが限りなくゼロに近づいていくと考えますが、既存のゼロリスク志向がある社会においては理解が及ばないのが現状かもしれません。


マタニティマークやヘルプマークは周囲に配慮の必要性を知らせ、援助を得やすくなるためのマークですが、インターネット検索の関連ワードには「嫌がらせ」「いたずら」「危険」などのキーワードが頻出されています。


文化や価値観から変えていく必要があると感じています。私たちの活動により目指すべきビジョンや問題提起が発信され、対話や議論がなされれば検索結果は自ずと前向きな内容へと変化していくと考えていますし、日本社会の文化や価値観が変化することは製品やサービスの社会実装以上にインパクトがあるはずです。


PLAYERS・Mizuno 共同企画「ミズノケーン ST」

インクルーシブデザインの可能性

PLAYWORKSではさまざまな企業との共同開発を進める一方で、これまでインクルーシブデザインの浸透にも力を注がれています。インクルーシブデザインが持つ可能性について教えてください。


SDGsの潮流の中で経営にもソーシャルな視点や具体的な取り組みが求められています。しかし従来型の経営スタイルにおいて、社内外を巻き込みながら共創していくプロセスの経験が乏しく、途中でプロジェクトが終了してしまうことも少なくありません。


インクルーシブデザインは障害者などリードユーザーとの共創を通じて、ビジョンや課題を自分事化できるだけでなく、社内外の交流や多様な視点の獲得にも繋がります。現在は、その企業文化にあったインクルーシブなデザインプロセスや仕組みづくり、人材育成にも注力しています。


培った経験・スキルを所属する組織だけでなく、社会へ還元しようとする考えが広がりつつあります。裏を返せば所属先において個人の想いや経験・スキルが活かしきれていないという実態があるのかもしれません。社会実装の実現に向けて、さいごに今後の展開を教えてください。


日本におけるインクルーシブデザインの成功事例を作りたいと考えています。「薄型ソーラービーコン内蔵点字ブロック」や白杖「ミズノケーン ST」はその一つであり、ビジネスとしての成立が今後の社会変革を大きく後押しすると考えています。また、多様なスキルや個性を持つ障害者がさまざまな企業で働き、製品やサービス開発のプロジェクトで活躍できるように、リードユーザーの育成も強化していきたいです。

PLAYWORKS株式会社 代表 タキザワケイタさん

取材後記

構内アナウンスの悪用や障害者専用駐車場の利用マナーの問題など、適切な社会実装へのハードルを改めて認識するインタビューとなりました。社会に根付いた文化・慣習と向き合いながら、新たな文化、価値観を醸成することは、遠いようで社会実装への一番の近道なのかもしれません。

また、想いベースで始まるソーシャルな活動は、長期的には疲弊してしまい、結果的に活動が終了してしまうことも少なくありません。永続的な価値提供を考えるとビジネス設計や資金繰りは欠かせず、想いベースからビジネスとして体制を切り替えることも含めてソーシャルセクターの使命であり、結果的にさらなる価値提供にも繋がっていくのでしょう。

インクルーシブデザイン・サービスデザイン・ワークショップを活用した、新規事業・サービス・製品・組織開発を支援します。また、障害者など社会的弱者を対象としたサービス・製品を企画・開発・提供しています。
一般社団法人PLAYERS リーダー・筑波大学 非常勤講師・九州大学 講師・青山学院大学 ワークショップデザイナー育成プログラム 講師

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