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難病患者が福祉サービスを受けてみた。

~手続きの流れについて解説します。

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2022.9.5

みなさんは、就労継続支援施設というのを聞いたことがありますか?

似たような言葉で、就労移行支援施設というものもあり、あまり違いがわからない方もいらっしゃるかと思います。

今回は、就労継続支援施設のB型事業所でお世話になることになったので、サービスを受けるまでの手続きについてや、就労継続支援施設・就労移行支援施設の違いなどについて説明します。

執筆:xu

就労「移行」支援とは?

就労移行支援とは、一般企業での就労を目指す人に対して、働くための能力や必要な知識を身につけるための職業訓練や就職活動のサポートをおこなっているところです。

就労のためのサポートの他に、就職後も長く働けるように支援するなど、職場定着へのサポートもおこなっています。

就労「継続」支援とは?

就労継続支援とは、一般企業での就労は難しいけれど、支援があれば働くことができる人に対して、働くことができる場所や知識・能力向上の訓練を提供するサービスのことを指します。

就労継続支援の形として、A型事業所B型事業所に分かれます。

A型事業所は直接企業と雇用契約を結ぶ形態の事業所のことを指し、B型事業所は企業とは直接契約を結ばずに働く、非雇用型の事業所です。

働いて得た対価は、A型事業所では「給与」、B型事業所では「工賃」として支払われます。

わたしは体調の変動が激しく、A型事業所の利用は難しいと考えたのと、魅力的なB型事業所を見つけたので通所を希望することにしました。

B型事業所を利用するまで

B型事業所を利用するにあたり、受給者証がいることから、各手続きが必要となります。
以下に、わたしがとった行動をまとめていきますので、ぜひ参考にしてください。

(要領の良い方は、もっと効率よく進められると思います…笑)


ー 資料請求(問い合わせ)

まずは、気になるB型事業所にメールで問い合わせをします。
ちなみに、わたしが気になっている事業所は、e-sportsを専門としたところです。

とにかく、わたしは「在宅勤務」が大前提であったため、在宅での勤務は可能かどうかについて訪ねました。

すると、在宅での仕事ができる、との回答をいただいたので、詳しくお話を聞かせてもらうことに。

対面での相談会も実施していましたが、自宅から通いづらい場所にあり、なかなか遠かったので、zoomにて相談会をセッティングしていただきました。


ー 相談

相談会には、事前にいくつか質問を用意しておいて参加しました。

具体的には、

・在宅でできる職種(第一希望のところで在宅は可能か)
・もし通所するなら、どのようなポジションがあるのか
・今後の流れ
以上のようなことを質問し、回答していただきました。

通所を希望しているB型事業所は、なんとNEWオープンの事業所なのですが、昨今のご時世柄工事が遅れていることなどなど…終始なごやかな雰囲気で相談会は進みました。


ー 見学にいった

相談会の後、相談員の方をご紹介していただき、打ち合わせ待ちだったのですが、実際に研修やe-sports体験会などがおこなわれているそうなので、「見学したい」という気持ちになり…。

彼にお願いして事業所に連れて行ってもらい、e-sports体験会を見学しました。

実際に小学生ぐらいから高校生ぐらいの若い子たちやゲーマーの方々(いわゆる選手ですね!)がゲームを楽しんでおられ、わたしも実際にキーボードとマウス・ヘッドセットでゲームを体験しました。

ここにいる一部の人たちと、実際に働くことになるのかぁ…と期待で胸は広がるばかり。
スタッフの方々も、優しい方ばかりです。

人見知りが激しいので行くのは不安だったけど、見学に行ってよかったと感じました。


ー 福祉サービスの利用計画書案を作成する

実際にB型事業所を利用するために、相談員の人とコンタクトを取って、自宅で福祉サービスの利用計画書案を作るためのヒアリングの日を設定しました。

2時間ぐらいかかるとされていたので、事前にどういう経緯で福祉サービスを使いたいのか(わたしの場合はなぜ在宅でないといけないのかという旨)をまとめておくことに。

長時間の通勤時間で疲労がたたり、退職した実績や病気が悪化した経緯などを記載しました。

これを作っておいたおかげで、約1時間で作成が終了し、だいぶ楽に進めることができました…!
もちろん、これは自分で作るのではなく、相談員さんがヒアリングした内容をもとに作ってくださいます。

もし、まとめておく場合は、時系列にして、履歴書のように書いていくと見やすいと思います!
(どのぐらい入院したのか、いつ病気が発症し、再発したのかなど)

その後、区役所に行って福祉サービスの申請をしに行きました。


ー 区役所(市役所)に行って、福祉サービスの申請

福祉サービスを利用する際は、区役所(多くの場合は市役所)の福祉課に行き、福祉サービスを利用したいという旨を伝えます。

そのとき、難病の方は受給者証・障害の方は障害者手帳と相談員の名刺、あれば事業所の資料があると話が早いです。

相談員の人がいる旨を伝えないと、全部自分で手続きしなくてはいけない「セルフプラン」になってしまうので注意が必要です。

その後、区役所の人に教えてもらいながら、申請書を書きました。


ー 相談員が利用計画書を持ってくるので、サインする

数日後、相談員がヒアリングした内容をもとに作成した利用計画書を自宅に持ってきてくださるので、サインをします。

わたしの場合は、玄関先でささっとサインをしました。

時間としては、10〜15分程度でしたでしょうか。

そのあとすぐに相談員が役所に利用計画書を持っていってくださり、申請してくださいました。

ここでようやく、福祉サービスを利用する書類の申請手続きが完了します。


ー 障害者基幹相談支援センターから聞き取り調査を受ける

さて、もうひとつやらなくてはいけないことがあります。

役所に福祉サービスの申請を受けるときに聞いたのですが、なんと「障害者基幹相談センター」から聞き取り調査があるとのこと。

福祉サービスを受けるにあたって、聞き取り調査をおこなう必要があるんですね。

面接みたいで嫌だな、と身構えていましたが、大したことはなく、普通に疾患している病気や症状、いつから発症したのかや入院歴を聞かれました。

その後は、心身の状態や日常生活に関する質問をされ、終了です。

時間はだいたい30分程度で終わりました。


ー B型事業所のサービス管理責任者の方が来た

聞き取り調査から一週間ほどして、B型事業所のサービス管理責任者の方が、今度は事業所からの申請書類にサインを、とのことで自宅にやってきました。

これも前回同様に、玄関先で10〜15分程度で完了し、すぐに役所に書類を持っていってくださいました。


ー 受給者証が完成し、サービス利用開始

上記と同じく聞き取り調査から一週間後、B型事業所の担当者の方から、申請が通ったのでサービスの利用ができるとのご連絡をいただきました!
また、同時に受給者証も交付されました。

本契約ということで、事業所に直々に向かいます。
そこで契約手続きをすませて、今日からB型事業所の仲間入りです!!

ようやく、晴れてB型事業所に通所することができました!

利用開始まで余裕を持って行動するべき

わたしの場合はそこまで焦ってはいませんでしたが、すべてがゆっくり進むので、少し焦る気持ちがありました。

実際に、わたしが福祉サービスを利用開始するまでの流れは以下の通りです。

・資料請求〜相談まで一週間
・相談から見学まで一週間
・手続き開始まで一週間
・相談員と利用計画書案を練り、作成完了まで一週間
・利用計画書提出から聞き取り調査まで一週間
・聞き取り調査からB型事業所の手続きをするまで一週間
・実際に申請が通り、サービス開始まで一週間

というように、事業所に相談してから実際に働くまで約2ヶ月かかりました。

特に、

・福祉サービス利用の申請
・B型事業所の利用申請


こちらの2つの手続きがあるので、少々ややこしく感じたかもしれません…。

この流れを見ると結構長いと感じますが、早くできる人はもっと早くできると思います。

わたしは仕事と並行しながらだったので、だいぶ日程が空いてしまった、というのも原因の一つです。

B型事業所の利用を検討している方は、早めに行動することや、ゆとりを持ってサービス利用の手続きをしておくのがいいのかもしれません。
自治体によっては、受給者証が手に入るまで2ヶ月近くかかる場合もあるそうなので、早め早めの行動をおすすめします…!!!

注意点としては、世帯の所得によっては、利用料がかかる場合もあります。
自治体の公式サイトなどで、今一度確認してみてください。

また、受給者証も更新手続きが必要だったり、最初のうちは相談員のヒアリングがあったりするので、そのへんも頭の片隅に入れておきましょう!

B型事業所とは無縁だと感じていましたが、最近ではさまざまな形態のB型事業所が展開されています。
あなたの街にも、魅力的なB型事業所があるかもしれません。

難病や障害で、一般企業に就職するのが難しいと感じている方や、ブランクがありすぎてまずは働くという感覚を思い出したい方には、ぴったりの場所だと感じています。

興味がある方は、ぜひ探してみてはいかがでしょうか?

参考資料:
厚生労働省|障害者の就労支援対策の状況
厚生労働省|就労移行・継続支援事業

Text by
xu twitter note homepage

1998年生まれ。17歳の時に全身性エリテマトーデスを発症、22歳の時に線維筋痛症を併発した。高校卒業後は広告代理店でライターとして勤務し、その後フリーのライターとして独立。
趣味はゲームをすること。noteではコラム未満の病気の話やエッセイなどを執筆している。

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