PARA CHANNEL Cage

道具を使えば自分なりに生活をしやすくすることはできる。

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2022.7.28

左半身麻痺の身体障害者になってから、制約がいっぱい出てきました。今回は、健常者のときのように楽しめなくなったファッションについて書いていきたいと思います。

執筆:市川 潤一

私はこのパラちゃんねるカフェで、左半身麻痺の身体障害者になってから、経験してきたことや考えてきたこと、諦めてきたことなどを書いてきました。

今回は以前も少し書きましたが、身体障害者になってから、制約がいっぱい出てきて健常者のときのように自由に楽しめなくなったファッションについて書いていきたいと思います。


以前も書きましたが、私たちの年代はスニーカーや古着ブームなどがありました。私は靴道楽で、スニーカーをはじめ、ブーツや革靴などを集めては楽しんでいました。それと同時に洋服も非常に好きでした。もちろん、バッグや帽子なども多数集めていました。

病気をするまでの職業がライターや編集者だったので、結婚式や企業トップ等の取材などよっぽどのことがない限り、スーツもなかなか着る機会はありませんでした。仕事内容によってはジャケット着用のドレスコードを言われることもありましたので、カジュアルな服だけでなく、一応ビジネスにも対応できるような服も揃えていました。

退院した後は、愛媛を離れて長崎の実家に帰ることになっており、愛媛の家にいったん戻ったときに、頭を悩ませたのが大量にあった服の片付けでした。

私だけでは片づけが進められなかったので、友人たちに集まってもらい、早い者勝ちで好きな服や靴、バイクなどをギャラとして持って行ってもらうというようにして片付けました。

その際に友だちから「もう、片手ではボタンがあるシャツなどは着にくくなるかもな。」と言われました。私は左の肩から下は全く動かない全廃という状態です。この一言は私の障害とファッション事情を端的に表しています。

入院中のリハビリで片手でボタンをとめる練習はしていたのですが、「シャツは大半の生地が伸びないので、着にくさを感じるだろう。」と思い、ほとんどを友人にあげたり、友人にあげるにはくたびれすぎているようなものは燃えるゴミとして処分しました。

片麻痺になって以降、ズボンも、ボタンフライのジーパンなどはやはり履くのが難しくなったので、何本かあったビンテージのジーンズは価値がわかる友人にあげたり、いくらかで引き取ってもらいました。

スウェットパンツなどで外出するのはちょっと気恥ずかしいところがあり、片手でウエストベルトを締めることができるクライミングパンツなどがメインになってきました。


上着は、古着のジャージが好きだったので、それらは生地も伸びて着やすく、コツさえつかめばフロントのファスナーも片手で締めることができるので、一年中通して、上はジャージを着ていることが多くなりました。

私は左腕が伸びにくいので、Tシャツなどは腕が通しやすく、肩に引っかかった布をするっと下ろせるようにオーバーサイズを買うことが多くなりました。これは動きやすさにもつながっています。


先ほども話したスーツ等のフォーマルな装いの件では、今の在宅ワークを見つける際に、「企業側との面談には、上半身だけでもスーツを着用してください」と言われていました。

以前着ていたスーツの上やジャケットは腕がうまく通らなくなっていたので、直前まで「スーツが着られないので辞退しようか」と思うほどでした。

しかし、ネットで着やすいスーツがないかと探していたときに、働き方改革の影響で、伸縮性がある生地で作られたクールビズやリラックスに対応したスーツのセットアップがあるのを見つけ、急いでそれを購入してウェブ面談を受けたこともあります。

昨今では、コロナの影響もあって、在宅ワークが増えたこともあり、在宅でウェブ会議などをするときのための着やすい生地の「テレワークスーツ」なども多く販売されています。

靴は装具会社が取り扱っているリハビリ用の靴が人工皮革でできたフォーマルな見た目のものが多く、それであれば、スーツと合わせても違和感がないので、スーツ着用時はそれを履くようにしています。

ただ、靴は左足に装具をつけているので、幅広やサイズが大きいものが必要なので、プライベートで履くものは、両足とも同じ大きいサイズの靴を新品で試すのは怖いこともあり、オークションサイトやフリマサイトを利用することが多いです。


カバンなどは、普段のカジュアルな格好で出かけるときは、杖をつくために、手提げのカバンなどは利用できないので、背負う部分の紐が長く柔らかい、伸びない腕でも背負いやすいリュックと、小さめのサコッシュのような斜めかけのバッグを財布入れなどとして一緒に持つようにしています。今後、ビジネス用のリュックやバックパックを検討しなければならないかもしれません。

バッグや財布に関係して、片麻痺だと片手での財布の開閉も大変になってくるので、スマホ決済や、交通系ICカードによる決済などが増えたことも一つの特徴です。

このように片麻痺になると、今まで普通に出来ていたことにたくさん制約が出てきます。それを解消するための道具も、専用のものでは無くとも世の中には探せばたくさんあります。自分で探して、自分なりに生活をしやすくしていくことも大事だと感じています。

1975年生まれ。長崎県佐世保市出身・在住。愛媛県でライター・編集者・カメラマンなどとして活動していたときに脳梗塞になり、左半身麻痺の身体障害者となる。取材活動ができなくなり、ライターを廃業。障害者雇用の在宅ワーカーとなり現在に至る。障害者の仕事の仕方や見つけ方など自分の経験を紹介していきたいと思います。

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