「支援される」から「支援する」。就労継続支援B型事業所able! FACTORYの魅力とは。able! FACTORY施設長 木村利信さんインタビュー
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2022.8.14
『パラちゃんねるカフェ』がお届けする障がい者雇用に取り組む企業インタビュー。今回は、前回の株式会社TENGA代表取締役 松本光一さんインタビューに続き、2022年5月10日にオープンした就労継続支援B型事業所able! FACTORYの施設長 木村利信(きむらとしのぶ)さんに施設の特徴やable! projectへの想いについてさまざまなお話を伺いました。
執筆:株式会社TENGA
はじめに
株式会社TENGAは、”性を表通りに、誰もが楽しめるものに変えていく”をビジョンに掲げ、セクシャルウェルネス商品の開発・販売と「性」に関する正しい知識、情報の普及を目指し2005年に設立されました。
人間の根源的な欲求である「性」を誰もが楽しめて、一人ひとりが自分らしく生きられること、その尊厳が守られることを目指す同社は、2022年5月より埼玉県川越市で就労継続支援B型事業所able! FACTORY(エイブル・ファクトリー)を運営しています。
今回は、就労継続支援B型事業所able! FACTORY 施設長 木村利信(きむらとしのぶ)さんに施設の特徴やable! projectへの想いについてお話を伺いました。
『パラちゃんねるカフェ』がお届けする障がい者雇用に取り組む企業インタビュー。障がい者雇用を推進している企業やこれから働こうとしている障がいのある皆さまに、ぜひ読んでいただければ幸いです。
就労継続支援B型事業所「able! FACTORY」とは
able! FACTORY(エイブルファクトリー)は、障害者総合支援法に基づいた就労系障害福祉サービスにおける就労継続支援B型事業所として2022年5月10日に埼玉県川越市にオープンしました。able! FACTORYとは具体的にどのような場所なのでしょうか。
able! FACTORYは、障がいや難病により一般就労が現時点において難しい方を対象として就労訓練を行う施設で、主にTシャツやトートバックなど衣料品の印刷、able! TENGAの製造、PCのリペア、カフェやドッグランの運営をしており、今後はECサイトの開設も予定しています。現在は精神障がい、身体障がい、軽度知的障がいの方が中心に働いています。
限定的な事業や職種に特化することでフォロー体制の充実を図る事業所が目立つ中で、able! FACTORYでは、さまざまな事業内容を展開してます。
働く職員側の負担はありますが、多岐にわたる事業が存在することで、どんな障がい特性があったとしても適した業務での就労機会の提供が実現できます。事業所によっては限定的な職種に絞り、選考基準を高めることで工賃の向上を図る事業所もありますが、私たちは障がい特性により生きづらさや働きづらさのある方を受け入れる場所として、誰もが一緒に働ける環境作りを目指し、社会資源の一つになろうと心がけています。
「支援される」から「支援する」の変化
20年以上の福祉業界経験を持つ木村さんが考えるable! FACTORYの魅力について教えてください。
able! FACTORYにはTENGA出身のメンバーも在籍しており、お客様第一のサービス精神が根付いています。例えば、able! CAFÉは土日含め19時までオープンしていたりと、より一般就労に近い環境づくりが実現できていると思います。
また、従来の概念を覆す魅力としては、able! FACTORYが他の福祉施設へ寄付をするという点です。福祉業界では支援されることが当たり前化してしまうことも少なくありません。自らの努力や成果が誰かの役に立っているという実感があることで生きがいや働きがいに繋がる環境はとても魅力的だと感じています。
就労継続支援B型事業所として、「支援される」から「支援する」側に変化することで具体的にどのような効果が生まれるのでしょうか。
まだ明確な答えはありませんが、私自身もどのような効果が生まれるのかを見たいんだと思います。20年間、福祉業界にいる中で関わる方の最善の利益を追求するために始めたはずなのに、どこかで支援をもらいたがっている自分がいたことに気づきます。支援されることを当たり前ととらえず、私たちも寄付をしようという発想がどのような化学反応を起こすのか、社会がどう感じてくれるのか、分からないけれど楽しみにしています。
able! FACRORYが広げる支援の輪
今後発売予定のable! TENGAを購入すると100円が寄付されるなど、誰もが気軽に参加できるのがable! projectの魅力です。スタートしたばかりのプロジェクトが今後目指すべき展望を教えてください。
able! FACTORYとしては、まずは埼玉県川越市の皆さまにしっかりと知っていただきたいというのが一番の想いです。「できない=能力がない」ではなく、経験して学べばできるということを知ってもらう場所がable! FACTORYであり、誰もが誰かの役に立てる場所がable! projectです。最終的には活動が日本全国に広がり、理解し協力してくれる支援の輪が広がっていくことを願っています。
さいごにable! FACTORYに興味を持った方へメッセージをお願いします。
able! FACTORYには、“ものづくり”のチャレンジ精神が根付いています。TENGAを知っていて、able! FACTORYを知っていて、工賃をもらうだけでなく寄付をすることを知っている、スキルや経験ではなく、ここで働き学びたいという明確な意思があることを大切にしています。興味のある方はぜひ気軽に見学に来ていただけると嬉しく思います。
取材後記
エンジニアとして納期優先の16年間からボランティアを機に人との関りを優先する福祉業界に魅了され20年以上という木村さんのキャリア変遷がとても印象に残るインタビューとなりました。
福祉の外と中を知るからこそ抱く違和感や生み出せる仕組みがあり、able! FACTORYには、”ものづくり“を通じて人間の尊厳を追求するTENGAメンバーと木村さんの想いが詰まっています。興味のある方はぜひ見学してみてはいかがでしょうか。