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発達障害者は不得意を克服するよりも、得意を伸ばした方がいいのか?

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2022.12.6

私は、長く自分が不得意なことを不得意だと気づけませんでした。逆に、周囲からは得意だと評価されていることに気づけなかったこともあります。今回は、発達障害者は不得意を克服するよりも、得意を伸ばした方がいいのか?ということについてお話ししようと思います。

執筆:とくら じゅん

こんにちは、とくらです。

私は、長く自分が不得意なことを不得意だと気づけませんでした。逆に、周囲からは得意だと評価されていることに気づけなかったこともあります。

今回は、発達障害者は不得意を克服するよりも、得意を伸ばした方がいいのか?ということについてお話ししようと思います。

そもそも不得意は克服できるのか?


私は大人になるまで「自分の不得意なことは、自分の努力次第で克服できるものだ」と考えていました。

学生時代に何度かコンビニのアルバイトや、飲食店のホールでアルバイトをしたことがあります。当時は「難しい仕事だ…」と感じて半年と働くことができずにすべて辞めてしまいましたが、今思えばわざわざ本当に向いていない仕事を選んで働いていたのです。

レジ打ちだけでもたくさんやることがあり、品出し、掃除、雑誌の返本…など、コンビニの仕事は典型的なマルチタスクですし、うまくいかないとちょっとしたパニック状態に陥ってしまうこともありました。

私は小さいころから運動神経も悪く、更に注意欠陥によるミスが多発するため、飲食店のホールで働くことは完全に「不得意」なことでした。短期間のアルバイト中に、土鍋や湯呑を何個も割ってしまったのは今でも申し訳なく思っています。

「コンビニや飲食店のバイトはみんなやっているし、自分の耐性の問題だ」と考えて何度もチャレンジしては、完全に打ち負かされていましたが、今振り返ると「もう少し柔軟に考え方を変えてみてもよかったのではないか」と思います。

それぞれのアルバイト先で、先輩からのアドバイスや、自分なりの工夫をしつつある程度の期間働いても全く使い物にならなかった経験から考えると、私の「コンビニ・飲食店のホールバイト」は克服できるタイプの不得意ではなかったようです。

不得意を克服するには...


私の場合、特に不得意なことはどうやら自力での克服は難しそうだと分かりました。そのため、現在では自分が難しいと感じることは人に任せてしまうことで楽になっています。

例えば、自転車に乗って買い物をする、書類の管理、金銭管理などの私が不得意な領域は夫に完全にお願いしています。

また、職場でもなるべく口頭コミュニケーションではなくテキストでのやり取りをお願いすることで、聞き漏らしや聞き間違え、抜け漏れや反射的に変な返答をしてしまうことを防いでいます。

できないことは「頑張る」よりも「頑張ってやらなくても良い体制を整える」方が、よほど精神衛生上良いのではないでしょうか。

それでも不得意を克服したいと思うことはあります。道を歩くときに自転車や車が来ているのに気が付かない、人が多いとめちゃくちゃぶつかる、というようなことです。

これは「気を付ける」以上の対策は無いのですが、今では子どもを連れて歩くことも多いため、仕方ないでは済まされません。

少し時間はかかりますが、何度も何度も周囲を見回したり、なるべく人の少ない場所を探して歩いたりと、なるべく危険が無いようにしています。

いくら苦手だからと言っても出歩かない、というのは現実的ではなく、これだけは外注でどうにかなるものでもないため仕方ないのですが、このレベルでどうしようもないこと以外はできる限り不得意の克服を自分の中だけで完結させないようにしています。

得意を伸ばした方がいい?


苦手の克服については無理なものは無理(生死を左右するくらい必要に迫られればできる限りで頑張る)、という私ですが、得意なことを伸ばす努力をしたかと言えば、それも怪しいです。

というのも、得意なことは周りの人が褒めてくれるので調子に乗って勝手に伸びているから。

子どもの頃、「○○が上手だねー!」と言われて嬉しくて更に頑張ってしまったという経験は誰しもが持っていると思います。私は多分いまだにそうです。

一方で、自分で「これが得意なのでは?」と思って自身に変なプレッシャーをかけてしまうと、それが嫌いになってしまうリスクも。

得意なことが得意になっていくのは、「○○が得意だから伸ばそう!」という「圧」からではなく、「得意だから」というシンプルな理由な気がします。褒められたり、失敗しないから苦手ではなかったりするため、勝手に伸びていくものが「得意」なのかもしれません。

そもそも、凹凸があるからといって、必ずしもものすごく得意なことがあるわけでもないと考えています。私は確かに褒められて調子に乗ることはありますが、「突出して得意」なことがあるのかと聞かれると、自信がありません。

誰しもが圧倒的な得意があるとは限らないのです。個人的には、「得意なことは苦手ではないこと」くらいの意識で抱えておいた方がプレッシャーにならないと思います。(もちろん、明らかに得意なことがある人も大勢います。)

まとめ

これまでの自分の経験を振り返ってみると、「得意なことを伸ばす」ことよりも、「すごく不得意なことを無理やり克服しなくても良い方法を探す」ことの方が生きやすさに直結しているような気がします。

できるに越したことはないけど、できないことはできないでいいじゃん、という生き方ができればみんながもっと楽になれそうですよね。

1991年生まれ。下町暮らしのフリーライター・イラストレーター。出産後ADHDの診断を受ける。様々な立場の生きづらさを考えていきたい人。

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