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障害は軽いと「良い」なの?

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2023.1.11

障害者でも、また同じ病気であっても人それぞれ、状態は変わりますよね。
他のコラムでも触れていますが、私の今の状態は比較的、軽い方だと思っています。

ただ時々言われる言葉に、モヤっとすることが・・・。
先日の出来事を紹介しつつ、書いてみます。

執筆:山口 真未 Mami Yamaguchi

障害者って言葉だと大きな括りですが、実態は人それぞれです。
見ただけではわからない人もいれば、車椅子のように、見ればスグに何となくでも察してもらえるような人も。

私の場合は比較的に軽い方ですが、外出時には片杖を突きつつ、ゆっくり歩行。

最近では、4歳の姪っ子も私の歩き方のマネをするくらいには、見ただけでわかるようになってきました。

ただ日々の生活とすれば、まだ一人暮らしが続けられる状態。

もちろんネット通販や小型の人工呼吸器など、テクノロジーの恩恵を受けているので、今の時代だからこそとも言えます。

とはいえ子供のころを振り返っても、健常者と同じ学校へ行き、障害者雇用枠ですが企業への就職も経験しました。

常に健常者の方に囲まれて生活する中で、よく言われたセリフ。

「大変かもだけど、障害が軽くて良かったね~」と。

言葉への違和感

健常者の方と一緒に何かをするなら、私の場合は障害を伝えることが必須。
自分のためにも、相手のためにも、必要な度合いを見極めながら伝えています。

ただ伝えると、よく言われるセリフ。
「障害が軽くて“ 良かったね~ ”」

もちろん相手の言葉に深い意味はなく、どう反応するのが良いのかわからず、という場合もあると思います。

私もどんな言葉を返すのが正解?と聞かれても、導き出せません。

でも軽くて“良い”ということは、重いと“悪い”なのでしょうか?

他にも知能面に障害がないなら・・・とも言われます。

このセリフは、障害者の方と初めて会った人からだけでもありません。

実は私、今年の春に引っ越しをしました。同じ市内ではあるものの、離れた場所のため行くお店や病院などが全て変わりました。

元々の障害に関わる病気は専門の病院ですが、ちょっとした風邪や歯医者などは、家から通いやすい近所の場所へ行っています。

つい先日、インフルエンザの予防接種を打つため、初めての病院へ行ったときのこと。

その病院で元々の病気の診察はお願いしませんが、問診等で既往症として今どういう状態か、どこの病院に行っているのか等は聞かれます。

いつものことのため、聞かれた質問に答えていると、お医者様より言われたのが例のセリフ。

ちなみに町のクリニックという感じの病院のため、障害者の方を専門にする病院ではありません。

「この病気だと、ほとんど寝たきりの人もいるしね~。歩けて仕事も出来るなら、まだ良かったね~」

何気ないセリフだとは思いますが、少し絶句しつつ、笑って流しました。

確かに私の今の状態と比べれば、同じ病気でも重度の方とは生活のしやすさ、出来ることは違うと思います。でもどちらの立場にたっても、悲しくなるセリフだなと。

相手への理解を止めないで

私自身は障害のために生活の不便さを感じますし、人の手を借りないと出来ないことも多くあります。

それに今でも病気は治ればいいと真剣に思っています。

障害が軽いから大丈夫だろう、軽いから良かった、と障害への理解を止めないで欲しい。人それぞれの不便があり、手を借りたいときもあります。

もし障害があると、何が不便なのかな?という想像力が、止まることが何よりも悲しい。

想像力と理解する気持ちこそ、誰にとっても優しい世界への第一歩です。

それに似たようなセリフに置き換えれば、覚えもあるはず。

たとえば「ゆとり世代だから」「〇〇大学出身なら」「A型なら」と一括りにされるより、私を見て欲しいって思ったことありますよね。

障害者も一緒です。

軽いから良い、重いから大変、ではなく人それぞれの状態があり、一括りには出来ません。

また同じ病気であっても一緒です。

病気の症状は人それぞれで、全く同じ病気であっても、出来ること出来ないことは変わってきます。

これも風邪や花粉症など、身近なもので考えれば想像しやすいですよね。

障害者と区別することは大事ですが、相手は1人の人であることは、より大切なはず。

言葉1つにも相手への想いを込めて

おそらく障害者を街中で見かけたことがあっても、それ以上の関わりがある人は少ないのが現実だと思います。

だからこそ内容を聞いたときに、かける言葉に困る気持ちも理解は出来ます。

ただ私個人で言えば、同情も哀れみも求めていません。それよりも私が出来ること、出来ないことを知って欲しいと思っています。

また障害が軽いなら、生活に不便がないなら、ラッキーだねというセリフ。極力さけて欲しい、と思っています。

事故にあった人に、「ケガがなくて幸いだね」とかける言葉と同じで、そもそも事故にあいたい人はいませんよね。ケガがなくても、損失がなくても、事故にあったこと自体がショックなはず。

言葉1つですし、どんな言葉なら正解なのかはわかりません。

でも「されど言葉」でもあること、私も含めて肝に銘じたいです。

1990年生まれ。障害者ファイナンシャルプランナー(FP)。生まれつき”筋ジスの仲間”と言われつつも、正式な「ベスレムミオパチー」の診断は大人になってから。高卒・障害者雇用で大手鉄道会社の事務で10年以上勤務したが、病気の悪化により退職。そこで改めて、お金の大切さに気付く。現在は、障害者だからあるお金の悩みと寄り添いたく、障害者FPとして活動中。

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