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発達障害の人は雑談が苦手ってほんと?

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2023.1.12

みなさんは初対面の人と、2回くらい会ったことのある人、長年付き合いのある人で自分のコミュニケーションに違いがあると感じたことはありますか?今回は、よく聞く「発達障害の人は雑談が苦手なのでは?」というテーマについて、私の過去の経験をお話したいと思います。

執筆:とくら じゅん

こんにちは、とくらです。

みなさんは初対面の人と、2回くらい会ったことのある人、長年付き合いのある人で自分のコミュニケーションに違いがあると感じたことはありますか?

20代前半頃までの私は、初対面の人と話をするよりも、2回くらい会ったことのある「友達とも言いづらい知り合いくらいの距離感の人」と雑談をするのがとても苦手でした。(今でも得意ではありませんが…)

今回は、よく聞く「発達障害の人は雑談が苦手なのでは?」というテーマについて、私の過去の経験をお話したいと思います。

友達に指摘される違和感


小学生から高校生までの間は、普段コミュニケーションを取る相手は同じ学校のクラスメイトが多いのではないでしょうか。あとは部活とか。

「あまり会わないけど、会ったらちょっとはしゃべる」人とのコミュニケーションはそこまで必要とされていないように思います。

私も基本的に親密な関係の人としか会話をすることがなかったため、特に不便を感じたことはありませんでしたが、大学生になると状況は激変しました。

ある日、私が他大学のサークルとの交流会に出席したときのことです。交流会では、サークルでの活動について情報交換のほかに、交流を深めるためのちょっとした雑談的な会話も多く、私もそこでいろいろと話をしていました。

休憩時間に友人と話していると、そこで驚きの指摘が。

「お前、やっぱり初対面の人との距離感変だよな。」

んんん?????

私はそれまで全く意識していなかったのですが、大学入学から3年程毎日のように一緒にいた友人からすると、以前から私の初対面の人と会話をする様子に違和感があったようです。

詳しく聞いてみると、どうやら私のおかしな点は次の2つ。

  • ①質問に対する返答が浅すぎる
  • ②かと思えば、別の質問では異常に自己開示をしすぎる

それまで、私は自分を「コミュ障」というフレーズで表現していたのですが、どうやらここに問題があったようです。

大学生になってから、バイト、サークル、講義、学科のクラス、ゼミ、などなど、人に会うパターンが非常に多くなり、「結構長い時間話をしなければならない初対面の人」や「友達まではいかないけど、何回か会ったことある人」の存在が急増したことで、自分の会話での苦手な面が明らかになったのかもしれません。

情報量0か10000か


友人から指摘を受けた私は、交流会が終わってしばらく過去の自分を振り返って、あまりに的を射た指摘であったことにかなり辛い気持ちになっていました。

わざわざ言いにくいことを言ってくれた友人に対して恨みめいた気持ちすら抱いていたほどです。(今では当時の彼の指摘にはとても感謝しています。)

①質問に対する返答が浅すぎる

過去の会話を思い返してみると、心当たりがありすぎるほどにありました。

複数人でふわっとした会話をしている時、私はオウム返し、ニヤニヤ笑う、「ふふっ」という相槌っぽい声、という概ね3パターンの返答をしていました。

この返答は、仲の良い友人との会話で発生することはほとんどありません。おそらく、あまりよく知らない人の発言の背景や、その場の空気を想像するという自分の苦手なことをなるべく避けようとしている省エネモードなのだと思います。

②自己開示をしすぎる

①の返答が浅すぎる、とは正反対のように見えますが、自己開示をしすぎることもかなり頻繁に起こっていました。

自己開示をすること自体は良いことのように思われますが、この「しすぎる」という点が問題です。

初対面の人との雑談の中で質問に対する返答が浅すぎたところで「人見知りなのかな」と思われる程度で、それほど支障はありません。ただ、異様に高いテンションで自分の内面を見せてくる人間はかなり危険に見えますよね。

たとえば、初めて会う人に「初恋について」というようなテーマで話を振られた際に、引いてしまうレベルの自分の壮絶な恋愛のトラウマを話してしまう、というようなことです。

こういう強めの失敗話やトラウマ体験は、かなり親密な関係性であれば受け止めることができますが、全く知らない人に急にこんな話をされても「なんやこいつ」となる場合が多いのではないでしょうか。

当時の私は、あまり親しくない人に対しては「中身がないどころか、意味すらない音のような返答」か「相手が受け止めきれない程の情報量を詰め込んだ話」のどちらかで会話を成立させようとしていたのです。

軽めの雑談を楽しみたい人には、非常に困った人に見えていたことでしょう。

何とか雑談をしたい


友人に指摘を受けてから、「どうやら私は雑談スタイルが他の人に違和感や不快感を与えている可能性がありそうだ」ということに気が付きました。

また、初対面の人よりも2回目に会う人との会話の方が難しいのは、初対面の人とは「浅すぎる返答」で乗り切れるのに対して、2回目に会う人にはちょうどいい会話をしなければならなくなってくるからだ、ということに思い至りました。

今でも、気を抜くと変な返答をすることもありますが、自分の会話スタイルに気が付いたことで、私の雑談力は当時に比べてかなり改善されてきていると思います。

解決方法はシンプルでした。「この場面で会話の上手な人はどんな返答をするのか」と想像することです。

もしかしたら、私が想像する「会話上手な人」は「普通の人」なのかもしれませんが、とにかく自分より会話が上手な人を想像して、その人がしそうな答えを返します。本質的な解決策かどうかはわかりませんが、絶対に変な人だと思われたくない場面では非常に有効な手段です。

また、場の空気を和らげたり、本題に入る前のステップとして雑談をすることがあります。この雑談は何かを伝えるというよりも、良い雰囲気づくりの手段にすぎません。

何も自分が本心から伝えたいと思っていることや、非常に有益な情報を伝える必要はなく、場の空気を変な感じにしないだけで充分なことも多いのです。

私の場合には「相手にとって本質的で有益な情報を伝えねば…!」と気負えば気負うほど変な感じになってしまうため、雑談で話す内容は自分が思ってもいないことでも良いと考えるようになりました。

もちろん、それなりに面白くてちょうどいい話ができそうだと感じた時は、自分の意見を言いますが、私は大体「今まで見た会話のできる人はこう言うだろう」という発言をなぞることが多いです。

まとめ

正直、私の雑談への対処法が良いか悪いかは自分でも判断がつきません。かなり賛否ある方法のように思いますが、社会人生活を送る中では、仕方のない側面もあるとも思います。

やたらと距離感が遠くなってしまったり、急に近づきすぎてしまったりという0か100かの会話の仕方に対して、改善策をとれたということが私にとっては大きな進歩でした。

雑談は今でも苦手ですが、友人から「変だよ」と指摘されることがなければ、自分のコミュニケーションスタイルを変えようと思うことも、パターンを分析することもなかったと思います。

「苦手だな」と思うことも、なぜ苦手なのかを一度自分でパターンを分けて考えてみることで、何か法則や変化の道筋が見えてくるかもしれません。

1991年生まれ。下町暮らしのフリーライター・イラストレーター。出産後ADHDの診断を受ける。様々な立場の生きづらさを考えていきたい人。

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