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てんかん発作を抱えながら働く私の3つの工夫

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2023.1.31

私は22歳のときにてんかんと診断されました。今回は、私がてんかん障害を抱えながら少しでも発作のリスクを低減させるためにしている工夫についてまとめてみました。

執筆:小泉 将史

私は22歳のときにてんかんと診断されました。てんかんとは、突然意識を失って反応が無くなるなどの「てんかん発作」を繰り返す病気のことです。

以前、てんかん障害者が働きづらい理由や、どんな配慮をしてもらえるとうれしいのかについて書かせていただきました。

今回は、私がてんかん障害を抱えながら働く上で、少しでも発作のリスクを低減させるためにしている工夫についてまとめてみました。参考にして頂ければ幸いです。


薬を携帯しておく

20代の頃、医師から「ツラいと感じたら、その場で服用してください」と言われていたので、鞄や携帯電話ケースのポケットなどに薬を入れて持ち歩くようにしていました。

現在は、主治医と相談した上で断薬していますが、当時の名残で携帯電話のケースポケットに薬を入れてあります。お守り代わりに持ち歩いているのかもしれません。

職場によっては、仕事中に私物を携行してはいけないなどのルールがあるかもしれません。そのような場合は上司に「薬を携帯していてもいいでしょうか」と相談してみることもいいと思います。

そうすれば、ツラいと感じた時にすぐに服薬できますし、食後の薬の飲み忘れも予防することができます。

規則正しい生活を送る

発作のリスクを低減させるために規則正しい生活を送るようにしています。私は日常生活と、職場、どちらでも健康管理のためにいくつかのルールを自分に設けています。

日常生活で気をつけていることは以下の通りです。

  • 早寝早起きで十分な睡眠時間を確保する
  • 炊事、洗濯、掃除を自ら行う
  • 適度な運動を行う、など

日常生活においては、「当たり前」のことから始めました。「当たり前」とは入浴・早寝・早起き、寝床を整える、うがい、洗顔、着替え、食事、歯磨き、など基本的に毎日行う基本的な生活習慣のことです。 

特に、睡眠は翌日のコンディションを左右するので重要です。20代の頃は睡眠時間が6時間になると、意識朦朧となることが多く、発作の頻度が上がったりしました。

睡眠は量だけでなく、質にもこだわる必要があります。だからこそ、寝る前に風呂に入ってリラックスをするようにしています。私は朝起きてから仕事に行くまでや、仕事から帰ってきた後に寝るまでにすることを決めておき、習慣にしています。

他にも、掃除と洗濯を決まった曜日に行うようにしています。炊事や洗濯、掃除を規則正しく行う事で1日の時間の使い方にメリハリが出てきます。

また、適度な運動のために、散歩をするようになりました。散歩は気楽で取りかかりやすいのがいいところです。1日10分でも15分でもいいので、外の空気を吸って自然と触れ合ってみましょう。ストレスの発散や、気分のリフレッシュにもつながります。


働く上で、自分の健康管理のために気をつけていることは以下の通りです。

  • 休憩時間・休暇はしっかりと確保する
  • なるべく残業は行わない、など

仕事については、職場の理解が必要になってくるので、その都度、上司に相談してきました。職場によっては残業をしないことが難しいこともあるかもしれません。忙しい時期には休憩時間や、休暇がとりづらいこともあります。

ただ、私の場合は無理して働きすぎると、安定して働き続けることが難しくなってしまいます。休みを確保しておくことが健康管理につながっています。

例えば、私はお昼の休憩時間に仮眠をとるようにしてから、午後の仕事の効率がよくなってきました。10分程度でも仮眠をとると、午前中にたまった疲労がリセットされて頭がスッキリします。午後からの業務への意欲が湧いてきます。

仕事中は働く、休むときは休むことに専念させてもらっています。


その他、てんかんを抱えながら働く為の工夫について

職場の同僚や上司にてんかんの発作が起きたときの対応について伝えておくと、いざ発作が起きたときに周囲の人が慌てずに対処できると思います。

例えば、発作中の本人の安全の確保について、痙攣発作がおさまったら意識が回復するまで静かに寝かせるなどです。その場合は、横向きに寝かせると吐物による窒息を避けて、気道を確保することができます。

他にも発作中の本人にしてはいけないことや、救急搬送が必要な発作かどうか、本人の発作の観察と記録について、あらかじめ伝えておくと、意識が消失して倒れるような大きな発作が起きたときに困ったり、別の事故につながったりすることがなくなるはずです。

私は20代の頃は病気のことを周囲に打ち明けることができませんでした。今は当時と比べて症状がよくなってきているので、実際にこういった発作時の対応を伝えたことはありません。

周囲にてんかん障害の方がいる場合は、発作時の対応や介助について知っておくと安心できると思います。

また、通勤についても工夫が必要です。私は公共交通機関の利便性が悪く、電車は1時間に1本しか走っていないような田舎に住んでいるので、必然的に車社会になってきてしまいます。個人的に、通勤で長時間の運転をすることは避けたいと考えています。

交通手段だけではなく、通勤時間についてもなるべく短くしたいと考えています。健康管理をする上で重要になってくる睡眠時間の確保や、規則正しい生活習慣のためにも、通勤時間はなるべく30分以内に収まる職場で働きたいです。


終わりに

皆さん、いかがでしたでしょうか?

てんかん障害の症状に悩まされていても、できる限り快適に働くために自分でできる工夫について書いてみました。

私が書いてきたことは、ほとんどが当たり前のことのように見えるかもしれませんが、これらを継続していくことは意外と難しいものです。これまで何度も「これは本当に継続した方がいい習慣だろうか」と見直しをしてきました。

これからもより良い生活を送れるように、自分の生活習慣や働く上での工夫をし続けていきたいと思っています。

16歳の時、父の死から原因不明の「てんかん」を発症する。部分寛解後、原因不明の「てんかん性精神病」を発症する。陽性症状で人間関係の構築が困難な状況に、働きづらさを感じている。投薬治療中。精神障害者手帳3級所持。働き方として在宅ワークを模索中。趣味のキーワードは美術館、パン、スイーツ、ウォーキング、読書、トレッキング。

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