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どん底から這い上がることを賭けて通う就労移行支援事業所

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2021.3.18

フリーランスのライター・翻訳者として、不定期でウェブメディアなどで執筆していましたが、コロナ禍の影響で収入が不安定になり、現在は就労移行支援事業所に通い、パラレルワーカーを目指しています。
そんな私が今、就労移行支援事業所で学んだこと、気づいたことをまとめました。通うことを検討している求職中の方々の参考になれば嬉しいです。

執筆:長谷 ゆう Yu Hase

就労移行支援事業所に通うきっかけ

フリーランスを始めたものの、コロナ禍の影響もあり稼げず、どん底にいたところに、企業で就労する当事者の友人Aさんが「うちに翻訳のポジションできたんだけど、どう?」と誘ってくれました。

ですが、友人のサポートにも関わらず準備不足で面接の出来が悪く不採用。絶望した私に、Aさんが「企業目線で見ても役立つ」という就労移行支援事業所を勧めてくれました。

Aさん、あの時は可能性を信じてサポートしてくれてありがとう。

今はその勧めてくれた事業所で、這い上がろうとしています。

充実したプログラム

私が通う就労移行支援事業所では、企業で一度も働いたことがない人から、私のようにある程度職歴のある人まで、様々な背景の人が活用できるように工夫がされています。

自己分析、ビジネスマナー、コミュニケーション、ストレスマネジメントなどのプログラムがあり、それぞれテキストもあります。プログラム参加は自由です。

これ以外にも、個別訓練で自分の伸ばしたいスキルの向上を行うこともできます。

通い始めてから4か月が経ち、通うことに慣れてくると、個別訓練の時間をうまく使えるようになりました。私は個別訓練の時間で翻訳の課題に取り組んでいます。

支援員の方々は、とても社内教育が行き届いていて、「配慮はするけど遠慮はしない」を実践されています。

ただ、ルールがしっかりしているのはいいのですが、私にとってはルールが細かすぎてたまにイラっとくる時も。でも私は、興味のあることに没頭し始めればすぐに忘れられるので、うまい具合に気持ちの切り替えをしています。



自分と向き合い、メンタルを克服

私は、特定の情報(長くなるのでここでは省略します)を見るとパニックになりやすいというしんどさを抱えてきました。「このままでは職場でその情報を見てトラブルを起こしてしまいそう」と不安になったこともありました。

しかし、通ううちに、「パニックのトリガーとなる情報を見た時にも、メンタルをフラットに保つための本当の対処法を持とう」と思うようになりました。

アンガーマネジメント、認知のトレーニング、人前で話す訓練を通じて実践。それを通して心掛けるようになったのは、

・怒りや憤りや悔しさを含め、ネガティブな感情を持つ自分を受け入れる
・自分の怒りの傾向を知り、怒りを抑え込むのではなく、うまく付き合う
・精神のバランスを崩しそうな時はあえてその情報は見ない
・半径5メートルの理解を意識して、日々できることをしていく
・怒りや批判だけでなく、建設的な提言を

パニックのトリガーとなる情報を見た時は、メンタルヘルスケアについて話を聞いてくれる人を探すようにしました。そうしていくうちに、パニックのトリガーとなる情報が目に入ったとしても、自己対処できるようになっていきました。

自分の強みを再発見

この事業所では朝礼があり、訓練生が挙手制で司会をします。私は週に1度か2度のペースで司会をしています。

司会は3分間フリートークをすることになっています。この時間がとても楽しい。特に嬉しいのは、私の話を聞いてファンになってくれた訓練生から、感想をもらえた時です。

私は話す前に原稿を準備しています。そのまま原稿を読み上げるのではなく、流れを見ながら、時間内に収めることを意識。聞いている人の反応を見ることも大事です。

事業所には様々な背景の訓練生がいます。私はライターとしての知見を活かし、「聞いた人に気付きや学びを与えられる話をしよう」「ビジネスのトレンド、旬のトピックを、一度も働いたことがない人も面白いと思えるように語ろう」を目標にして話しています。

何度も話しているうちに、うまく話せるようになってきました。書いて伝えるだけでなく、講演やイベント登壇の機会にもつなげていけそうです。

元々私は、大勢の人の前で話す時も物怖じしませんでした。仕事で人前で話す機会は少なかったのですが、司会を通じて、それまで発揮する機会のなかった自分の強みを再発見しました。

この経験から、障がい者雇用やダイバーシティに影響を与える本格的なオピニオンリーダーを目指す気持ちが一層強くなりました。



第三者の目を通したアセスメントシートで企業も安心

企業実習や就職活動をするフェーズに入ると、支援員と一緒に、自分のスキル、障がいの詳細、配慮事項、効果的な指示の方法などをまとめた書類を作成します。これがA3用紙1枚でとても内容が細かいのです。

この事業所が活用している書類を採用で参考にしている企業もあります。候補者を入社後どのようにマネジメントしたらいいのか、面接しただけでは分からなかったとしても、書類の情報をも参考に判断ができる、ということです。

「第三者の目でここまで書かれていれば、安心して採用できる」という企業があるのは理解できます。

正しく「はしご」をかけてくれる事業所を選ぼう

就労移行支援事業所は「はしご」のようなものだと思っています。

誰かがきちんと「はしご」をかけてくれたら、今の自分一人では届きそうにもない場所にも、這い上がっていける。実際に、事業所のサポートで、優良企業で思い描いた形で就労できている卒業生もいます。

別のコラムにも書きましたが、事業所選びはとても重要です。正しい位置にきちんとした「はしご」をかけてくれる事業所を選ぶようにしましょう。自分の行きたいタイプの企業への就職実績のある企業がおすすめです。

1981年生まれ。発達障害や障害者雇用やダイバーシティの知見を活かして取材・執筆・翻訳を行う。「Business Insider Japan」「NewSphere」「Co-Co Life☆女子部」「COTRAVEL」などで執筆。リンクトイン日本版2020「最も人を惹きつけるクリエイター10人」。

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