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就労移行支援事業所ってどんなところ?1日の流れ、事業所内でのコミュニケーションの様子について紹介します!

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2021.5.7

一般企業で働くことを目指す障害者に、就職に必要な知識やスキルを身につけるためのサポートを行う福祉サービスとして、就労移行支援サービスがあります。就労移行支援事業所とはどのようなところなのでしょうか?今回は、1日の流れや事業所内でのコミュニケーションについてご紹介します。

執筆:長谷 ゆう Yu Hase

就労移行支援事業所とは?

皆さんは、就労移行支援事業所をご存知ですか?

就労移行支援とは「一般企業で働くことを目指す障害者に、就職に必要な知識やスキルを身につけるためのサポートを行う福祉サービス」です。

支援を受けるために、就労移行支援事業所に通います。

この言葉だけ聞くと、どんなことをやっているイメージを思い浮かべますか。

障害に対するイメージも相まって
「障害により能力の低いかわいそうな人の行くところ?」
「スキルといっても、せいぜいパソコンの入力ぐらいじゃないの?」
と感じている方も少なくありません。これは障害当事者も同じです。

しかし、現実はやや違います。


1日の基本的な流れ

私自身、現在、就労移行支援事業所に通っていますが、まずは1日の流れをご紹介します。

私が通う事業所は「10時半~12時半」の日と「10時半~15時」の日があります。現在はコロナ禍によって訓練時間は短縮されています。

※施設内では感染対策として、ソーシャルディスタンスを取って席に座るようになっていたり、机の上に透明の飛沫防止シートが置かれていたりします。また、在宅訓練が取り入れられ、施設内で訓練をする人数は10人までに制限されています。

今はリモートワークを取り入れる企業も多く、在宅訓練はリモートで働く訓練にもなります。

私自身の話でいえば、在宅訓練の日が1ヶ月の半数程度を占めています。在宅訓練では、出席は自宅からPCでGoogle Meetに入室するという方法なので楽です。

毎朝、朝礼が行われます。司会は「3分間フリートーク」をすることになっており、これはプレゼンの訓練としてとても良く、ここで私は「人前で物怖じせず話せる」という強みを再発見することになりました。

朝礼では、利用者がその日の予定と目標を話すことになっており、朝礼が終わると同時に訓練に入ります。



訓練は講座と業務実践に分かれています。

講座では、自己理解、コミュニケーション、ストレスマネジメント、就職活動などについて、座学とグループワークを取り入れた内容で学ぶことができます。

業務に関わる実践的な訓練としては、PCのタイピング、電話応対、来客時のお茶出し、軽作業などが挙げられます。いずれも参加は任意です。

私が通う事業所では、土日にも午前中のみ訓練が行われており、平日は受けることができない特別なプログラム(防災について知る・多様性について学ぶプログラムや、ウォーキングに出かけるなど)があります。

「自分の希望職種に必要なスキルを伸ばせる訓練プログラムがない」という場合には、上記の訓練の時間とは別に、個別訓練の時間を使うことがおすすめです。

例えば、日本の就労移行支援事業所には、ビジネス英語の訓練のできる事業所が殆どないのが現状ですが、TOEIC対策のテキストを持ち込んで学ぶことは可能です。Youtube、Udemy、LinkedInラーニングなどのオンライン講座で必要なスキルを学ぶのもいいです。

訓練内容を自分で組み立てることが重要で、何かを自分で組み立てる(目的をもち、計画を立てる)という癖付けは、仕事の現場でも生きるのではないでしょうか。

支援員とのコミュニケーション

就労移行支援事業所には、私たちの就労までをサポートしてくれる支援員の方々がいらっしゃいます。

「福祉の人だから、企業のことは分からないんでしょ?」
「簡単なことができただけで『よくできましたね~』と褒めるとか」

そんなイメージもあるとかないとか。

実のところ、支援員は利用者に対して、なかなか厳しいことを言ってくれます。事業所は職場を想定しているので、職場に相応しいコミュニケーションの取り方など細かく指摘します。

支援員には福祉を学んだ人が多いのは確かですが、異業種からいらっしゃった方もいます。それこそ、ITのトレーニングに力を入れている事業所には、IT業界出身の支援員もいます。

企業のことを想像以上に理解しているなという印象です。

利用者の中には、今の自分の状況を認識する「メタ認知能力」が弱い人もいます。自分に何ができるかわからなかったり、高すぎる目標を持ったり、反対に低すぎる目標を持ったりしてしまうことがあります。

支援員は、普段から利用者をよく見て、今の利用者のビジネススキルの現状を示してくれるのです。



利用者同士のコミュニケーション

先述の通り、コロナ禍で施設で一緒に訓練できる人数は限られています。そんななかでも、利用者同士のコミュニケーションはあります。

一緒に訓練するなかで、仲良くなっていく人が現れるのはいいことです。私は「今日のフリートーク良かったよ」と励ましてくれる利用者仲間がおり、そこから会話が弾んでいく時間が楽しいです。

私が事業所内でフラッシュバックに襲われ落ち着きを失ってしまった時にも、怖がるのではなく「大丈夫?」と声をかけてくれたこともありました。

「私は見捨てられていない」と安心できた出来事であるとともに、感謝しつつも、メンタルを改善できるようにと改めて決意できた瞬間でもありました。

大切にすべきなのは、自分の時間と目標

今回は、事業所での1日の流れと、支援員・利用者とのコミュニケーションについて書きました。

事業所では、無理に全てのプログラムに参加する必要はありませんし、無理にみんなと仲良くする必要はありません。無理に週5日通わなければならないとも限りません。

最も大切にすべきなのは、自分の時間と目標です。支援員とすり合わせて、自分の目標とそ達成に向けての道筋、そのためにやることを決めて、訓練していきましょう。

2年間と決まっている就労移行支援サービスが、あなたにとって(私にとっても)意味のあるものにしなくてはなりません。

また、企業の方には、このような取り組みを行った上で、就労移行支援事業所から企業に就職していくことを知っておいていただきたいです。

1981年生まれ。発達障害や障害者雇用やダイバーシティの知見を活かして取材・執筆・翻訳を行う。「Business Insider Japan」「NewSphere」「Co-Co Life☆女子部」「COTRAVEL」などで執筆。リンクトイン日本版2020「最も人を惹きつけるクリエイター10人」。

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