PARA CHANNEL Cage

「障害者トライアル雇用」ってどんな制度?

~就職してからの「こんなはずじゃなかった」をなくす~

2021.7.6

パラちゃんねるカフェでは、障害者雇用に初めて取り組む人事担当者にもわかりやすいよう、障害者雇用に関する知識と法律(1)障害者基本法(2)障害者雇用促進法(3)障害者総合支援法(4)障害者差別解消法などについて取り上げてきました。


今回は、採用後の定着のために有効な「障害者トライアル雇用」について、詳しくご紹介します。

実は、障害者雇用においては、1年間での離職率は30~50%程度を推移しており(障害種別により異なる)、大きな課題となっています。
その解決策として、事業主だけでなく、障害者の方にも、ぜひ活用してほしい制度が「障害者トライアル雇用」です。

執筆:中塚 翔大 Shota Nakatsuka

「障害者トライアル雇用」とは

「障害者トライアル雇用」は、厚生労働省が定めた制度で、障害者を原則3か月間の試行雇用することで、適性や能力を見極め、継続雇用へのきっかけとすることを目的としています。


■「障害者トライアル雇用」の対象者

「障害者の雇用の促進等に関する法律 第2条第1号」に定める障害者に該当する方が対象で、障害の原因や障害の種類は問いません。

次のいずれかの要件を満たし、障害者トライアル雇用を希望した方が対象となります。


  • 紹介日時点で、就労経験のない職業に就くことを希望している
  • 紹介日の前日から過去2年以内に、2回以上離職や転職を繰り返している
  • 紹介日の前日時点で、離職している期間が6か月を超えている
  • 重度身体障害者、重度知的障害者、精神障害者

■「障害者トライアル雇用」の仕組み

障害者(求職者)と事業主(企業)をハローワークが連携してサポートします。採用選考は書類ではなく面接で行うこと、事業主は障害者と作成した「実施計画書」を提出することなどが定められています。

参考画像:障害者トライアル雇用の仕組み(画像)


障害者トライアル雇用の仕組み


この制度を利用すると、助成金を受けることができます。


■助成金の支給額

  • 対象者1人当たり、月額最大4万円(最長3か月間)

障害者トライアル雇用求人を事前にハローワーク等に提出し、これらの紹介によって、対象者を原則3か月の有期雇用で雇い入れ、一定の要件を満たした場合、助成金を受けることができます。

  • 精神障害者を初めて雇用する場合、月額最大8万円(最長3か月間)

精神障害者を初めて雇用する場合は、月額最大8万円の助成金を受けることができます。
また、精神障害者は最大12か月トライアル雇用期間を設けることができます。

ただし、助成金の支給対象期間は3か月間に限ります。

「障害者トライアル雇用」を活用するメリット

障害者雇用については、法律も整備され、様々な取り組みがされています。
2021年3月1日から法定雇用率が2.3%に、対象となる事業主の範囲は43.5人以上となりました。

しかしながら、1年間での障害者の離職率は30~50%程度(障害種別により異なる)と低迷しています。

その原因の1つとして考えられるのは、事業主と障害者との間にある様々な認識のズレではないでしょうか。
たとえば、障害者の能力や適性、性格、障害の特性などは、一人ひとり違います。

事業主の職場環境や仕事内容も様々です。

それなのに、お互いに理解不足のままで採用し、いざ就職してみたら「こんなはずじゃなかった」ということになりかねません。
「障害者トライアル雇用」では、ハローワークの職員などのサポートも受けながら、障害者と事業主、それぞれにとって働きやすいよう、試行錯誤しながら、継続雇用を目指します。

その結果、トライアル雇用後は85.5%の方が継続雇用されています(平成27年)。

実際に「障害者トライアル雇用」を活用して継続雇用に至ったケースを見てみましょう。

「障害者トライアル雇用」実例
ー ケース1

障害者トライアル雇用実例1


ー ケース2

障害者トライアル雇用実例2

2つのケースともに、トライアル雇用期間中に障害者と事業主それぞれのニーズを細かく分析して、1つずつ認識を擦り合わせ、課題を解決した結果、お互いに納得して継続雇用に至ったことがわかります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

障害者雇用においては、障害者は「ちゃんと働けるだろうか」、事業主は「障害者を雇ったことがないのでわからない」など、漠然とした不安があると思います。

その大きな要因は、「相手のことを知らないから」ではないでしょうか。

「障害者トライアル雇用」は、まさに「相手のことをよく知るための制度」と言えます。

期間中に、相手のことをよく見るのはもちろん、自分のことも知ってもらえるよう、あらゆる手段でコミュニケーションを重ねて、継続雇用につなげるといいですね。

1985年生まれ。多様性を推進するプロジェクト『パラちゃんねる』の管理人。
人材派遣・人材紹介など就職・転職支援に精通し、車いすバスケットボール日本代表のキャリア支援や障害者関連ラジオ番組のパーソナリティとして情報発信を務めるなど障害のある方々含め多様性の浸透に向け活動を続けている。

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