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障害児者支援職8年目の私が、障害者と接するときに気をつけている3つのポイント

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2021.8.21

私はライターをしながら、放課後等デイサービスという障害のある子ども達が放課後や休日に通う福祉サービスで働いています。過去のキャリアも含め、障害福祉の仕事自体はもう8年目。私が仕事で障害のある方や子どもと接するときに気をつけているポイントについてお伝えしていきます。障害者を初めて受け入れる企業や部署の方のヒントになれば幸いです。

執筆:森本 しおり Morimoto Shiori

はじめに

障害児者福祉の仕事をしていると「相手の言いたいことがわかるの?」や「怖くないの?」など質問されることがあります。

私は今、放課後等デイサービスという障害のある子ども達が放課後や休日に利用する福祉サービスで働いていますが、過去のキャリアも含め、障害福祉の仕事自体はもう8年目になりました。

福祉職未経験の職員が新しく入ってくると、最初のころは戸惑いを見せています。現場には、知的障害があって話せない子どももいれば、かんしゃくを起こす子どももいます。どのように接すればよいのかわからない方が多いようです。

障害者との関わりへの「慣れ」のために、障害福祉の現場に入ると「どんどん利用者さんと関わってください」と言われることが多いのですが、広く見渡してみると「障害のある人に接した経験がない」方は一定数いるはずです。

関われれば慣れるのか。それは全員に当てはまることではありません。コミュニケーションの得手不得手もあれば、本人の性格や特性によっても違うでしょう。障害者を初めて受け入れる企業、部署、従業員にとっても同じです。

そこで今回は、私が障害児者支援の仕事を通じて大切だと感じている、障害のある方や子どもと接するときに気をつけているポイントについてまとめてみました。



①苦手なことを把握する

まず、気を付けていることは「苦手なことを把握する」です。

障害特性、それまでの経験やトラウマ、性格などの特徴によって、苦手なことはさまざまです。ただ、障害のある方を相手にする際、特に気を遣うポイントです。障害者雇用でいえば、合理的配慮の背景にあたるものです。

たとえば、私が日々接している発達障害の子ども達は大きな音が苦手であったり、予定を変更することが苦手だったりします。これは障害特性によって、事前に想定できうるものです。

また、盲学校に通っている子どもには「どういう場面だと見えづらいか」を聞いています。これは同じ「目の不自由さ」を抱えていても、状況は人それぞれだからです。

「目の前の相手が苦手なことは何か」を把握していなければ、気づかないうちに互いにストレスを溜めてしまいます。障害児支援の現場では、苦手なことを強要すると、相手から嫌われてしまうこともあるので、場所と人と経験に対して、マイナスなイメージを持たせてしまわないように気をつけています。

本人と良好な関係性を築けなくても、仕事を進めるという観点では問題がないかもしれませんが、「苦手な人」と認識されてしまうと信頼関係の構築が難しくなってしまいます。

②好きなことを知る

2つ目は「好きなことを知る」です。

興味があることは何か、どのような時に楽しいと感じるのか、好きな対象は何か、などを細かく見ていきます。

「① 苦手なことを把握する」は、障害がある方を相手にすると特に気をつけなくてはならないポイントですが、「②好きなことを知る」は、他の人間関係にも共通するものです。どちらにしても、相手のことを知ろうとする姿勢が大切です。

支援の現場でいえば、苦手なことを避けるような環境整備だけでは、相手も前向きになりませんし、関係性は育っていきません。苦手なことを避けて、好きなことや関心を把握しておけば、支援ができなくなるほど関係性を悪化させることはないはずだと思って、私は支援しています。

好きなことと一括りにはしましたが、相手との共通の話題を通じて、会話のキャッチボールを軽やかに交わすことができるようになれば、信頼関係が成り立っていきます。

障害者雇用の現場では、社会人として、仕事のプロとしての関わりだけで十分ではないかと考える方もいるかもしれませんが、それは障害の種類や程度によって、一概にそうとは言い切れません。

好きなことは何か、というような、相手のパーソナリティを探れるような、コミュニケーションのきっかけを意識していただけるといいのではないかと考えます。



③最後は、相性。

最後に、少し無責任なことを言って申し訳ないのですが、相性も大切だと思っています。

仕事であっても、「合う・合わない」という相性はどうしても出てきてしまいます。

受け入れる側の障害者に対する考え方や価値観もあれば、関わってきた経験値もあります。組織に加わる側の障害者の障害の種類や程度もあれば、本人の性格や気質もあります。

支援の現場でも、一人の支援者に対して相性のいい利用者さんもいれば、気が合わない利用者さんがいます。もちろん、支援者の方が合わせた方がいいとは思っていますが、ベテランの先輩方を見ていても得意不得意があるのは伝わってきます。

障害者支援のプロである支援員でも相性によって関わる相手や関わり方を調整していることを踏まえれば、そこまでの情報や経験がない企業の方々にとっては運・不運の世界と言えるかもしれません。

私の経験してきた現場では、相性の悪い利用者さんと無理に仲良くなろうとはせず、チーム全体でカバーし合うことで関係構築を進めていました。長い目で見ていると、関係性がよくなることもあれば、悪くなるときもあります。

障害のある方を受け入れるとき、ひとりにその役割を集中させないことが大切なのではないでしょうか。

まとめ

支援職8年目の私が「障害のある人と接するときに気を付けているポイント」でした。

「① 苦手を把握する」は、障害がある人を受け入れる場合には最も重要なことだと感じています。また、障害特性が背景の場合が多いですが、苦手なことをどうするか?という話題自体がデリケートな人もおり、ここでのしくじりは、関係性の修復が難しくなります。

ただ、苦手なことの把握がスムーズにできれば「障害のある人とどう接したらいいのかわからない」という悩みの多くは解決すると思います。

障害者雇用の場合、自分の障害について、どのような配慮が必要なのかについて、この2つが答えられなければ、なかなか内定・採用へとつながらないはずです。聞き方に配慮は必要ですが、まずは相手に聞いてみること、自分で調べられることは検索してみることから始めてみてください。

1988年生まれ。「何事も一生懸命」なADHD当事者ライター。
就職後1年でパニック障害を発症し、退職。27歳のときに「大人の発達障害」当事者であることが判明。以降、自分とうまく付き合うコツをつかんでいる。プラスハンディキャップなど各種メディアへ寄稿中。

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