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ダイバーシティ&インクルージョンが生み出す働きやすい環境と企業価値。株式会社サンゲツ 人事部人材開発課 リーダー 坂川 慎之助さんインタビュー

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2021.12.10

『パラちゃんねるカフェ』がお届けする障がい者雇用に取り組む企業インタビュー。写真左から、株式会社サンゲツ 人事部 人材開発課 坂川慎之助さん、総務部 ESG推進課リサイクルセンター管理担当 田幡真一朗さん、人事部 人材開発課長 栗野直樹さん。今回は、坂川さんに障がい者雇用における歩みや取り組みについてお話を伺いました。

執筆:株式会社サンゲツ

はじめに

愛知県名古屋市西区に本社がある株式会社サンゲツは、壁紙、床材、ファブリックなどを取り扱うインテリア企業で、壁紙(クロス)の国内シェア約50%を誇るリーディングカンパニーとして知られています。

創業は1849年(江戸・嘉永年間)に襖や屏風、障子を設える表具師として山月堂の暖簾を掲げたことに遡り、現在は、スペースクリエーション企業として空間創造に関するさまざまな機能を強化し、モノ・空間・コトのデザイン力と提案力をベースに材料と空間の販売を行っています。


今回は、創業170年を超える株式会社サンゲツの障がい者雇用における歩みや取組みについて人事部 坂川 慎之助さんに色々とお話を伺いました。

『パラちゃんねる』がお届けする障がい者雇用を進める企業インタビュー。障がい者雇用を進めている企業やこれから働こうとしている障がい者の皆さまに、ぜひ読んでいただければ幸いです。

中期経営計画【 D.C. 2022 】とは?株式会社サンゲツの障がい者雇用における歩み。

サンゲツでは、中期経営計画【 D.C.2022 】においてダイバーシティ&インクルージョンの推進を掲げ、障がい者雇用率4.0%以上を目指しています。これまでの障がい者雇用における歩みについて教えてください。


サンゲツ前々社長の故・日比賢昭氏が元来、障がい者雇用に熱心に取り組んでおりました。2014年に就任した、現社長 安田正介にもその意志が引き継がれ、2021年7月時点で障がい者の実雇用率は3.18%となります。


ロジスティクスセンターでの商品の梱包、サンプル準備、出荷作業から始まり、現在は営業部門や財務経理部・総務部などの本社部門でも障がい者雇用を拡大していますが、どのようなきっかけがあったのでしょうか。


前中期経営計画「PLG 2019」で施策の一つとして掲げられたダイバーシティの推進が契機となり、幅広い部門での雇用促進が強化されました。従来ロジスティクスセンターにて身体障がい・知的障がいのある方が主に働いていましたが、営業部門や本社部門では精神障がい・発達障がいのある方も多く採用しています。


障がい者雇用の課題として受入れ部署の体制の整備や障がいに対する理解の浸透があげられます。精神障がい・発達障がいのある方の雇用を促進するに当たり、人事部としてどのような難しさや工夫がありましたか。


精神障がい・発達障がいのある方と働く難しさとして、障がい特性が目に見えず、また個人差があるという部分があります。まだまだ間違った情報による先入観や偏見も少なくないため、ハローワークから講師を呼び、管理職社員向けの説明会を行いました。


また、入社後のフォロー体制として保健師や人事部の定期面談を設けるだけでなく、障がい者就業支援センターや就労移行支援事業所などの支援機関との連携を常に心掛け、職場外も含めたフォロー体制を整えています。


障がい特性や症状から複数回の転職を経験している方も少なくありません。障がい者雇用における採用のポイントがあれば教えてください。


転職回数よりも退職理由をきちんとヒアリングするよう心掛けています。面接では自分を良く見せようとネガティブな情報を避けがちですが、安心して長く働いてもらうためには、特に心身が不調な時の自己理解や対処法、主治医の先生からのアドバイスなどの情報をあらかじめ共有しておくことが重要です。また、支援機関の情報と比較して整合性があるかどうかも判断材料の一つとなります。


見本帳リサイクルセンターで働く社員の様子


ダイバーシティ&インクルージョンの推進が企業価値を向上させる

障がい者雇用を各部署へ広げることでどのような価値をもたらすのでしょうか。


障がいのある方と一緒に働く部署では、障がいに対する偏見が少ないように感じます。その方の個性や適性を活かした仕事を真剣に考えたり、定着に向けた工夫を実践しながら、お互いがより働きやすい環境づくりに取り組んでいる印象です。


この感覚を、障がいのある方と接する社員のみならず、会社全体に広げることで、きめ細かな配慮や仕事の頼み方など、障がいの有無問わず、誰もが働きやすい環境が実現できるのではないかと期待しています。また、多様な人材それぞれの得意分野を活かした仕事に取り組むことで、会社全体として、業務の効率性や生産の性向上につながり、企業価値を向上させる重要な要素になると考えています。


一方で、定着に向けて課題に感じているのは、受入れ環境を整備しているつもりでも本人が求めるモノとは異なっている場合もあり、常に難しさも感じています。そんな時、やはり支援機関のサポートは心強く、連携することで小さなズレを早めに修正できれば定着率は上がっていくと実感しています。


最後に今後の展望を教えてください。


障がい者実雇用率に関わらず、多様な人材が、さまざまな部署で働けるような環境や業務設計を実現していきたいです。また、今後は2021年3月に開設したsangetsu見本帳リサイクルセンターのように障がいのある方がメインで働く部署の増設も視野に入れています。



組織や制度といったハード面だけではなく、ソフト面の心のバリアフリーが浸透していけば嬉しいです。障がいのある方の支援を通じてダイバーシティを推進し、弊社が長期ビジョンに掲げる、「みんなで いつまでも 楽しさあふれる」社会の実現に貢献していきたいです。


人事部人材開発課 リーダー 坂川 慎之助さん

取材後記

先々代から脈々と受け継がれる障がい者雇用への思いはサンゲツの働きやすさの源泉と言えるのではないでしょうか。坂川さんは、新卒入社9年目。営業職として入社後、人事部にて社員教育、評価・採用などの経験を経て障がい者雇用を担当しています。

障がい者雇用において人事部と受入れ部署とのコミュニケーションのズレが課題になる場面もまだまだ少なくありません。

障がい者雇用やSDGsの機運が高まる中で、創業者の思いはもちろん、誰が先頭に立って動くのか、人事部に求められる役割とその重要性を改めて考えるインタビューとなりました。

株式会社サンゲツは、愛知県名古屋市西区に本社を置き、 壁紙、床材、ファブリックなどのインテリア商品を扱う インテリア企業で、壁紙(クロス)の国内シェア約50%を誇るリーディングカンパニー。障がい者実雇用率3.18%(2021年7月時点)で身体障がい、精神障がい、発達障がい、知的障がいのある方が活躍しています。

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